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 No. 005 2016/7/1

 
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 米国ブルーグラスのトップグループのひとつ、ザ・グラスカルズ最新第9作。テリー・エルドリッジとボーカルを交互に担当する新メンバー、ジョン・ブライアンが加わってから初めての作品だが、テリーの田舎臭さとは対照的な伸びやかで清々しいテナーボイスが見事に、オズボーンブラザーズの伝統を弾くモダングラスの中で映える。紅一点のクリスティン・スコット・ ベンソン(bj)ほか、ダニー・ロバーツ(md)、アダム・ヘインズ(fd)、テリー・スミス(bj)ら、伝統ある鉄壁のナッシュビルブルーグラスの粋を聴かせる気持ちのいい「春一番」ブルーグラスだ。


MH-1643 THE GRASCALS『and then there's this...』CD(本体\2,450-)\2,646-

https://youtu.be/0vUkLroo6IA

I Know Better/Road of Life/Sweet Little Mountain Girl/True Hearts/Old Friend of Mine/Warm Wind/If You Want Me To/Delta Queen/I Like Trains/Autumn Glen/A Place To Hang My Hat/Highway of Sorow.

 関西弁で言うなら、「ほなら、これでもどう……」というタイトルのグラスカルズ最新第9作。

昨春にジェイミー・ジョンソンに代わり新メンバー、ジョン・ブライアンが加わってから初めての作品だが、オズボーンブラザーズの聴きやすいモダングラスの系譜をきっちりと踏襲する素晴らしいさわやかテナーボイスですばらしい作品に貢献している。

紅一点のクリスティン・スコット・ ベンソンのシュアーなバンジョー、ソロアルバム『Nighthawk』(CD \2,646-)が好評なダニー・ロバーツのマンドリン、じつに整理されたアダム・ヘインズのフィドル、それらを支える今や大ベテランのテリー・スミスの手堅いベース! 伝統ある鉄壁のナッシュビルブルーグラスの粋だ。

 2004年、ドリー・バートンの肝煎りで結成された米国ブルーグラスのトップグループのひとつ、ザ・グラスカルズ。

1980?90年代、ナッシュビルのブルーグラス最盛期を支えたザ・サイドメンを中心としたステーションイン人脈の集大成ともいうべき彼ら、ビル・モンローやオズボーンブラザーズ、ジム&ジェシーら、第一世代ブルーグラスの重鎮たちを支えた最後の世代でもある。

そんな彼らの魂は、そのモダンで聴きやすいサウンドとともにテリー・エルドリッジ(53)の歌を中心に今なお健在だ。テリーの歌にはますます陰影濃い田舎の心情が込められており、新メンバー、ジョンとの好対照が聴きどころでもある。

 現在の米国ブルーグラスのトップ人気アーティストといえば、大御所となったデル・マッカーリー・バンドやリッキー・スキャッグスとケンタッキーサンダー、ドイル・ローソンのクイックシルバーなどについで、デイリー&ビンセント、ラッセル・ムーアとサードタイムアウト、ギブソン・ブラザーズ、そしてこのグラスカルズなどの名前が上がる。

そんな中、個人名を冠していないのは……グラスカルズだけだ。

もちろん、ほかに新進気鋭のスティープ・キャニオン・ランブラーズやバルサム・レンジ、ベテランのロンサムリバーバンドらもいるのだが、その名が語る通り、シンガーへの偏りを排するようにバンドサウンドを大切にしてきた彼ら、それでもリードボーカルのひとりジェイミー・ジョンソンが抜けたあとを埋めるジョン・ブライアン、最後12曲目のモンロークラシック“Highway of Sorrow”で見事な存在感を聴かせる。……すばらしい!