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   B.O.M.Newsletter #403   2014年5月14日
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 INDEX
   ■追悼・宮崎勝之
新入荷リスト  
  ■ニュースレター#403 新入荷ダイジェスト 
ジャンル別新入荷  
   ■ブルーグラス新入荷
   ■インスト新入荷
   ■オールドタイム/フォーク新入荷
   ■カントリー新入荷
   ■映像モノ新入荷
最近作/お勧め作、再入荷  
   ■月刊ムーンシャイナー特集/関連作品
   ■ムーンシャイナー5月号レビュー紹介作品
   ■ブルーグラス最近作/お勧め作
   ■女性ブルーグラス/オールドタイム
   ■インスト最近作/お勧め作
   ■オールドタイム/フォーク最近作/お勧め作
   ■カントリー最近作/お勧め作
   ■お勧め発掘・編集最近作/お勧め作
   ■映像ものお勧め作
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 輸入雑誌  
   ■フラットピッキン・ギター誌
   ■バンジョー・ニューズレター誌
   ■ブルーグラス・アンリミテッド誌
   ■オールドタイム・ヘラルド誌
 月刊『ムーンシャイナー』  
 B.O.M.厳選、詳細解説コーナー!  
   ■ブルーグラス詳細解説
   ■インスト詳細解説
   ■映像もの詳細解説
 B.O.M.ご利用方法  
 先週末の10日土曜日、久々の宝塚ブルーグラス春フェス、滴るような萌黄色の木立に囲まれて、アコースティックの音が気持ちよく響いていました。夏フェスと違ったノンビリとしたスケジュールで午後5時過ぎから11時頃まで出演してくれたバンドも、ベテランから初心者まで、真摯な素晴らしいステージを聴かせてくれました。また個人的には朝5時までのジャム、チョッと寒かったけど、楽しかった……。あんなにも素晴らしい新緑と気持ちいい音に囲まれるって、あと何回あるんだろうって思っちゃいました。年だねぇ...!?

43年目の宝塚夏フェスは7月31日夜〜8月3日お昼まで。今度は深緑の中、アウトドアとアコースティックを楽しみましょうネ……皆さん!?

◆月刊ブルーグラスジャーナル「ムーンシャイナー」

創刊31年目、最新5月号(\540-)は、ノーム・ピケルニーのブルーグラスコミュニティーへの愛と21世紀のブルーグラスについて語る「IBMA演説」前編をカバーストーリーに、ハンバートハンバート「佐藤良成インタビュー」、レオナ2ndCD「Love and Peace」、アーニャ・ヒンクル日本ブルーグラス紀行「関西編」、2014年度新入生歓迎特集号A「フォークミュージック入門」、フォギーマウンテンフィドル列伝C“We'll Meet Again Sweetheart”、草の根ブルーグラス広島しまなみ「追悼・続木敬修」、北海道大学「川口浩平」などの特集ほか、日米ブルーグラス情報満載の40頁!!

月刊ムーンシャイナー定期購読は1年間(12冊)\6,300- 半年間(6冊)\3,450-。単冊\540-(送料\78-)。定期購読は購読開始希望月をお知らせくだされば早速お送りします!! また情報提供、そしてご自由なテーマでのご寄稿など……、なにとぞムーンシャイナーにご協力を、よろしくお願いします!

■全国イベント・カレンダー

以下、ムーンシャイナー誌4月号に寄せられたイベントです(個別バンドのライブ=来日&国内ツアー/企画物以外=はムーンシャイナー誌上にて)。

◆THE CASH

井上太郎/hinako/瀬川信二

5月16日(金)茨城 ひたちなか市 愉快スタジオ

5月17日(土)新潟 秋山郷結東温泉かたくりの宿

5月18日(日)福島 会津若松市 Dog House

総合(問)http://jahmando.com

◆5月17日(土)茨城「水戸春フェス」茨城町下土師、ポケット・ファームどきどき029-240-7777。13時、無料。(問)ホワイト029-226-6846

◆5月17日(土)兵庫「第13回フォートワース・ジャンボリー」西宮、アミティホール。14時、前\3500-当\4000-。(問)フォートワース0798-39-1923

◆5月17〜18日(土、日)大阪「第3回稲葉和裕ブルーグラス・キャンプ」箕面市立青少年教学の森キャンプ場。(問)アビリーン072-762-5353

◆5月18日(日)神奈川「第37回ビッグマウンテンオープリ」伊勢原市民文化会館。11時45分〜(問)http://www2h.biglobe.ne.jp/~foj/BMO.html

◆5月24〜25日(土,日)茨城「第13回美野里ダルシマ&オートハープフェス」小美玉市 上野牧場0299-48-4141

◆5月24〜25日(土、日)岡山「第25回美星ブルーグラス・ミーティング」岡山県美星町、星の郷ふれあいセンター(問)磯山隆史086-244-6074

◆レオナ&J.P.マティス

今年はレオナのセカンド・アルバムと里帰り

5月24日(土)岡山、美星ブルーグラスフェス

5月30日(金)高知 Cafe and Dining Zero

6月1日(日)徳島ブルーグラスライブ(昼)

6月1日(日)愛媛 今治 朝倉公民会館(夜)

6月3日(火)高松 jazz & bar SO NICE

6月6日(金)東京、バックインタウンwith guests

6月7日(土)沖縄 普天間基地 Flightline Fest.

6月11日(水)大阪、アナザー・ドリーム

6月13日(金)広島 尾道 オエ・コモ・ヴァ

6月14日(土)富山 北陸ブルーグラスフェス

6月19日(木)東京 銀座 Rocky Top feat. 玉三郎

6月20日(金)東京 千歳船橋 PACO

総合(問)www.facebook.com/fiddlingleona

◆5月24日(土)長崎「第17回長崎ブルーグラス・コンサートin洋館」旧香港上海銀行長崎支店。ゲスト渡辺三郎。17時半開場(問)蒲生浩郷095-857-4441

◆5月29日(木)北海道「ペリー黒船音楽紀行」旧函館区公会堂(0138-22-1001)。19時〜

◆6月1日(日)徳島「第19回徳島ブルーグラスライブ」両国公園西野外ステージ、11時(問)藤本090-3785-2878

◆6月5日(木)東京「第3回ディスカバー小平オールドタイム・コンサート」小平市中央公民館042-341-0861 16時〜(問)佐々木ジン090-3917-3672

◆ETSUブルーグラスプライド・ツアー

東テネシー州立大学から6人フル編成重量級BG!

6月12日(木)東京 曙橋 Back In Town

6月13日(金)東北大学ブルーグラスサークル

6月14〜15日(土、日)朝霧ブルーグラスフェス

6月17日(火)東京 築地 Blue Mood

6月18日(水)浜松楽器博物館レクチャーコンサート

6月19日(木)名古屋 ちくさ小劇場

6月20日(金)大阪 アナザードリーム

6月21日(土)広島 ふらんす座

6月22日(日)岡山

6月24日(火)奈良 奈良女子大学 ゲストスピーカー

総合(問)井上ゆい子 info@ann-grassroots.com

◆6月14〜15日(土、日)静岡「朝霧ブルーグラス・ピッキンパーティ」富士宮、富士山YMCAグローバルエコヴィレッジ。ゲスト: ETSUブルーグラス(問)中西047-323-2615、森下029-859-4356(いずれも20時〜22時)

◆6月14〜15日(土、日)富山「第13回北陸ブルーグラス・フェス」南砺市、桜ケ池公園自遊の森0763-62-3360(問)竹内090-1636-1943、t7755@kind.ocn.ne.jp

 ■追悼・宮崎勝之
 マンドリン奏者、宮崎勝之さんが4月28日、55歳という若さで逝った。ブルーグラスやフォークを中心に幅広く活躍、マンドリン教師としても多くの後進を育てた彼が残した作品を紹介して、心から哀悼の意を表します。
  RC-114 宮崎勝之『Man-O-Mandolin』CDR(本体\2,450-)\2,646-

ロニー・マッカーリーのプロデュースでナッシュビル録音された思い入れと華麗なテクニックが一杯のデビュー作品。ロニーのギターとジーン・リベアのベースを基本リズムに、デビッド・グリアのリード・ギター、リチャード・ベイリーのバンジョー、リッキー・シンプキンスのフィドル、ロブ・アイクスのドブロ、それにケニー・マローンのパーカッションとアラン・オブライアンのボーカルという超豪華メンバーで、日本人ここにあり、の嬉しい作品。

  RC-114T 宮崎勝之『man-o-mandolin』Tab-Book(本体\2,000-)\2,160-

ロニー・マッカーリーが制作した上記ナッシュビル録音CDアルバム『man-o-mandolin』の完全タブ譜集50頁。定評のあるクリアなピッキングで、"Big Country"や"Bill Cheatham"などのスタンダードも多く学べる秀作だ

  RC-119 宮崎勝之『Mandoscape』CD(本体\2,450-)\2,646-

デビッド・グリア制作のナッシュビル録音。デビッド(g)の他、オウブリー・ヘイニー(f)、スコット・ベスタル(bj)、そしてビクター・クラウス(bs)といったナッシュビルのトップ・ミュージシャンがサポート。

  PSR-121501 坂庭省悟 & 宮崎勝之『Battle One/Battle Two』CD2枚組(本体\3,810-)\4,115-

坂庭省悟が亡くなって10年になる昨年末、宮崎勝之とのデュオ「Shogo vs Katz」名義で1999年と2003年に発表され廃盤となっていたバトル・シリーズ2作品に未発表曲「グッバイ・ヒーロー」(ジョン・ハートフォード作/矢野雄三詞“In Tall Buildings”)を加えて2枚組で2013年にリリース。

  RHR-0003 宮崎勝之『Mando Novo』CD(本体\1,905-)\2,058-

2007年に発表されたソロ名義では3枚目の5曲入りミニアルバム。上記2枚のブルーグラスから一転、ラテン/カリプソ調のオリジナル、ポップなマンドリン音楽の創造に取り組んだ作品。

  TRMF-1101 宮崎勝之&古橋一晃『Woody Talkin'』CD(本体\2,381-)\2,572-

2011年、カントリーギター出身の古橋と組んだマンドリン/ギターのアコースティック・インスト・デュオ集。ブルーグラス/フォーク畑で活躍する宮崎の端正なマンドリンと、カントリー/ロック畑で活躍する古橋のフレキシブルなアコギが、京都でのデュオ時代に培われた呼吸を再現する。ムーンシャイナー誌2011年1月号で古橋、ムーンシャイナー誌同年4月号で宮崎のインタビューがそれぞれ特集されている。

 新入荷リスト
 ■ニュースレター#403 新入荷ダイジェスト
  SF-40199 SELDOM SCENE『Long Time... Seldom Scene』CD(本体\2,450-)\2,646-

あのセルダムシーンの名曲の数々が戻って来た!! しかも、エミルー・ハリスとオリジナルメンバーのジョン・スターリングとトム・グレイ、そしてパンチブラザーズのクリス・エルドリッジをゲストに迎えて……! 7年ぶり、素晴らしいシーンの最新作です。ブルーグラス新入荷にて

  RCSI-1108 BRAD LEE FOLK『Somewhere Far Away』CD(本体\2,450-)\2,646-

強力トラッドブルーグラスシンガー、ブラッド・リー・フォークの初ソロアルバム! 2004年、オープンロードというバンドで米国トラッドグラスの救世主的に大きな話題となっていたときに来日、そのあまりのリードボーカルの素晴らしさにノックアウトされて以来、わたし大ファンになったブラッド待望のデビューソロである。ブルーグラス新入荷とブルーグラス詳細解説参照。

  SH-4105 BRYAN SUTTON『Into My Own』CD(本体\2,450-)\2,646-

ものすごいブルーグラスインストアルバム! 強烈ドライブに乗っての自由自在なアドリブに唖然。メンバーが弾くフレーズに次々と反応していく珠玉の時間……、サム・ブッシュ、ノーム・ピケルニー、ステュアート・ダンカン、グレッグ・ギャリソンという基本にトラベリング・マッカーリーズやビル・フリーゼルを迎えての至福のブル―グラス音曲集。インスト新入荷参照

  RCSI-1099 ANYA HINKLE & JACKSON CUNNINGHAM『Old Time Duets』CD(本体\2,450-) \2,646-

昨夏、北海道から関西を愛娘サチちゃんとフィドルを背負って、夫ゲンとともに訪れたアーニャ・ヒンクル(そのリポート前編「北海道編」はムーンシャイナー1月号、後編「関西編」は5月号参照)が、ジャクソン・カニンガム(m)とともに創った素晴らしいブラザーデュオ作品。男女オールドタイムデュオの教科書のような秀作である。オールドタイム/フォーク新入荷参照。

  HCR-003 INFAMOUS STRINGDUSTERS『Let It Go』CD(本体\2,450-)\2,646-

ニューヨークタイムズ紙が「インファマス・ストリングダスターズはブルーグラスから離れない、彼らはその中からストレッチしているだ」と言うように、その若さを思いっきり、確かなテクに裏打ちされた一級のフィドル、バンジョー、ドブロ、ギター、ベースにぶつける気合いのこもった秀作である。ブルーグラス新入荷にて

  BCR-040 FELLER & HILL『Here Come Feller & Hill Again!』CD(本体\2,450-)\2,646-

トラッドグラスとベイカーズフィーヘルドやクラシックカントリーが合体したような……その手のファンにはたまらない田舎くさーい美学と素晴らしいアコースティックアンサンブルを堪能できるカントリーブルーグラスともに好きなオールドファンにお勧めのフェラー&ヒル最新第2作。ブルーグラス新入荷参照

  MRR-1017 SNYDER FAMILY BAND『Building Bridges』CD(本体\2,450-) \2,646-

神童フラットピッカーと呼ばれたゼブ・スナイダー(18)、昨年はアダム・ステフィのソロアルバムのギタリストに抜擢されている。そしてめっきり腕を上げ、ボーカルにも高い評価を受ける妹サマンサ(15)に父親バドのトリオ、スナイダーファミリーバンドの最新第4作。ボーカル物も半分を占めるが、インスト新入荷参照

  NONE795913 OST『Inside Llewyn Davis』CD(本体\2,450-) CD\2,646-

コーエン兄弟の脚本/監督で昨年、第66回カンヌ国際映画祭グランプリ受賞作品。1960年代初頭のニューヨークのフォークブーム前夜を描いた映画のサントラはパンチ・ブラザーズを中心に、ジョン・コーヘン参加のオールドタイムほか、マーカス・マムフォード、ナンシー・ブレイク、ボブ・ディラン他。オールドタイム/フォーク新入荷参照

  TMR-209 THE HADEN TRIPLETS『Tanya, Rachel & Petra Haden』CD(本体\2,450-)\2,646-

ライ・クーダーがプロデュースしたタンニャ、レイチェル、ペトラのヘイデン三つ子姉妹によるヘイデン・トリプレッツのデビュー作。カーターファミリーからルービンブラザーズの名曲やスタンレーブラザーズ、そしてビル・モンローのシビアなゴスペルやハイロンサムまで、素人っぽさがとても魅力的な美しさがいい!! オールドタイム・フォーク新入荷参照

  ROU-9184 CARLENE CARTER『Carter Girl』CD(本体\2,450-)\2,646-

マザー・メイベル・カーターの娘、ジューン・カーター・キャッシュと前夫カール・スミス(1950年代のカントリースター)の間に生まれたカーリーン・カーター。ドン・ドン・ウォズ(ストーンズやディランのプロデュースで知られる現ブルーノートレーベル社長)のプロデュースと豪華ゲストによるカーターファミリー曲集。カントリー新入荷参照

  GHD-5916 JEFF TAYLOR『Tavern in the Town: Saloon Piano Favorites』CD(本体\1,980-)\2,139-

タイムジャンパーズのピアノ/アコーディオン奏者、ジェフ・テイラー名義で発表された「酒場ピアノ15曲集」。フォークソングやフィドル/バンジョーチューンとしても知られるトラッドスタンダード15曲をいわゆるホンキートンクピアノ風にアレンジしたもの。インスト新入荷参照

  BBB-001 V.A.『Maryland Banjo Academy 1998: Banjo Bash at Buckeystown』DVDカラー100分(本体2.750-)\2.970-

1998年秋の3日間、メリーランド州バッキーズタウンに全米からバンジョーファンが大集合! ミンストレルバンジョーのボブ・フレッシャーからベラ・フレックまで、ブルーグラスとオールドタイムのトップミュージシャン20組を集めたバンジョーニューズレター誌主催、バンジョーファン必見!の記録映像集。昨年のIBMA最優秀バンジョー奏者を初受賞したマイク・マンフォードとマーク・ジョンソンが登場、この集まりを、「すべてはリズムのため!」と結論付けて、さぁ―100分に及ぶバンジョー三昧の始まーり! 映像新入荷参照

 ジャンル別新入荷
 (さらに詳細解説と附された解説はレターの最後尾「月刊ムーンシャイナー」誌紹介の後ろです)
 ■ブルーグラス新入荷
  SF-40199 SELDOM SCENE 『Long Time... Seldom Scene』CD(本体\2,450-)\2,646-

California Cotton Fields/Wait a Minute (feat. John Starling, Rickie Simpkins, Chris Eldridge)/What Am I Doing Hangin' Round/Hickory Wind (feat. Emmylou Harris)/I'll Be No Stranger There/Walk Through This World with Me/Big Train (From Memphis)/With Body and Soul (feat. Emmylou Harris, Tom Gray, John Starling)/Paradise/It's All Over Now, Baby Blue/Mean Mother Blues (feat. John Starling)/My Better Years/Little Georgia Rose (feat. Tom Gray)/Like I Used to Do/Through the Bottom of the Glass/Lorena.

 じつは昨年6月、わたしはケンタッキーで彼らのステージを観て、とても驚いた。めちゃくちゃ、バンドとしていいのです。たしかに、ジョン・ダッフィ(1934-1996)のいないシーンは意味ないという人の気持ちは分かります。しかし、ルー・リード(m)がダッフィを髣髴させてくれる……、それ以上にルーの歌のうまさに加え、本来のリードボーカルであるダドリー・コンネル(g)の凄さ、そしてなーんと!ドブロのフレッド・トラバースの歌が素晴らしいこと!! そう、一級のボーカリストを3人も抱えているのです。サウンド的には唯一のオリジナルメンバー、ベン・エルドリッジの鈴を転がすようなバンジョーと、フレッドのマイク・オルドリッジ(1938-2012)を思い起こさせてくれる甘いトーンのドブロが懐かしいシーンサウンドを再現、ルーもダッフィ的なイチビリで楽しませてくれ、ロニー・シンプキンズが手堅いベースでリズムを支える。

 さらに本作では、次々と初期のシーンヒット作を並べ、オリジナルメンバーのジョン・スターリングがあの2曲、“Wait a Minutes”と“Mean Mother Blues”でカムバック! ビル・モンローの“Little Georgia Rose”をあのシーンアレンジ――トム・グレイを迎えたタイトなフォービートドライブを再現してくれる。さらにエミルー・ハリスまでが“Hickory Wind”を歌うという超々豪華版! さらにさらに、ベンの息子で一時期は半レギュラーだったクリス・エルドリッジ――現在最高のストリングバンドとまで言われるパンチブラザーズのギタリスト――まで参入という、もうこれはじっくりと楽しんじゃうしか、ショーがナイッショ!!?

  BCR-040 FELLER & HILL『Here Come Feller & Hill Again!』CD(本体\2,450-)\2,646-

Hey Baby/Forget The Past/The Ballad of Buck and Don/When Is He Coming Again/The Government Blues/Never Ending Song of Love/Three Little Words Too Late/Slaughter On Tenth Avenue/Tired of Losing You/Stone Woman Blues/It'll Be Too Late/He's Coming Back To Earth Again/Here Comes Polly. 全13曲

 ブルーグラスとクラシックカントリー(1940〜1960年代のホンキートンク系カントリー)の双方には明らかな使用楽器の違いこそあれ、底辺に流れる生活感覚や文化には大きな差はない。現にスタンレーブラザーズやレノ&スマイリーらの曲作りは多分にホンキートンクカントリーと共通項が多い。フェラー&ヒルはそんなギャップを見事に埋める素晴らしいバンド。ファロン・ヤングの“Forget The Past”やディレイニー&ボニー“Never Ending Song of Love”、ベンチャーズの“10番街の殺人”などや、バッカルーズに愛を込めた“Ballad of Buck and Don”などの楽しいアレンジなど、オールドファンを飽きさせない選曲も秀逸。

 ボーイズ・フロム・インディアナという小洒落たローカルバンドのホルト兄弟の妹だという母に育てられたトム・フェラー(m)。生まれたときからブルーグラスとクラシックカントリーに囲まれたトムは、長じてラリー・スティーブンソン・バンドからロンダ・ビンセント&ザ・レイジのギタリストから、トラッドグラスの雄ワイルドウッド・バレイ・ボーイズへ。 ケンタッキー生まれのクリス・ヒル(bj)は、おばあちゃんからスタンレーブラザーズを叩きこまれ、叔父さんからクロッグダンスを教えられて育ち、高校時代には2度、バックダンスのチャンピオンになって来日もしたという。21歳のとき、エディ・アドコックの“Matterhorn”のイントロを聴いてバンジョーをはじめるも、両親の教えに従ってスタンレーブラザーズしか弾かない日々を3年過ごしたのち、ドン・レノとスクラッグスをマスターしたという変わり種。ジェイムズ・キング・バンドやカール・シフレット&ビッグカントリーショウなどで活躍、ワイルドウッド・バレイ・ボーイズでトム・フェラーと出会い、意気投合!

  HCR-003 INFAMOUS STRINGDUSTERS『Let It Go』CD(本体\2,450-)\2,646-

I'll Get Away/Where The Rivers Run Cold/Winds of Change/Rainbows/Summercamp/Middlefork/By My Side/Colorado/Peace of Mind/Light & Love/Let It Go 全11曲

あくまでも「トラッドグラスからインスパイアされたブログレグラス」だと言うインファマス・ストリングダスターズの最新作。60年をかけて積み上げられたブルーグラスの楽器ノウハウをさらに発展させながら、現在にマッチしたサウンドを追求する若手スーパーピッカー達、ジェレミー・ギャレット(fd)、アンディ・ホール(db)、クリス・バンドルフィ(bj)、アンディ・ファルコ(gt)、トラビス・ブック(bs)の5人組。オリジナルからは2007年の超話題デビュー作『Fork in the Road』発表とほぼ同時にパンチブラザーズに移籍したクリス・エルドリッジ(かわりにファルコが参加)と、2011年にはジェシー・コッブ(md)が抜けている。

ボストンのバークリー音楽院を通じて知り合った同志たち、バンドルフィ、ホール、エルドリッジ(オハイオ州のオバーリン大学音楽院=マーティンと同じ1833年創立の名門)の3人が意気投合、ナッシュビルに向かったホールを追いかけて同地で合流、ホールの参加していたロニー・ボウマン&コミッティにいたギャレットとコッブを巻き込み、コロラドのブックをオーディションして2005年秋に結成された若いバンド。スタジオアルバムとしては5枚目、ライブを含んで6枚目の本作、シュガーヒルからの3枚につづく、若者系のハイカントリー・レーベルからの3枚目でもある。

目一杯の元気をくれる21世紀のニューグラス、思いっきり自分たちの音をストレートに表現するブルーグラス育ちの超絶テク若者ブルーグラスをお楽しみください。ムーンシャイナー2007年3月号(\540-)にインファマス(悪名高き)ストリングダスターズのカバーストーリーがある。

  RCSI-1108 BRAD LEE FOLK『Somewhere Far Away』CD(本体\2,450-)\2,646-

Foolish Game of Love/Trains Don't Lie/The Wood Swan/The Piper/Denver/Somewhere Far Away/Never Looking Back/Soil and Clay. 全8曲

ルイジアナ生まれのミズーリ育ちブラッドフォード・リー・フォーク、父が1966年製マーティンD-35(現在ブラッド)でカントリーブルースを歌うのを聴きながら育ったという。14歳でブルーグラスとカントリー音楽に出会い、高校卒業後に南米アルゼンチンま街角やチリの山でストリートミュージシャンをしながら旅する。ミズーリに帰ってから女の子を追ってモーターバイクで西へ、1999年にはコロラド州北部カーボンデールのロッキー山脈で小さな山小屋に住みカウボーイとして働くかたわら、1972年製キャディラックのクーペ、デビルを駆ってオープンロードに参加、ブルーグラスギグに行く日々。

オープンロードはトラッドブルーグラスの救世主と大きな話題になるものの2004年の来日をはさみ、2006年オープンロードを辞め、コロラド州ラポートでホンキートンク酒場「Swing Station」を経営、5年間さまざまなバンドをブッキングするとともにブルーグラスジャムを主宰したりするも、さしたる理由なく売却(現在もバーはつづいている)、ふらりとナッシュビルにやって来たという。

そこで若手のスーパーピッカー達と意気投合、そのベタなバンド名にも関わらず、ニール・ヤングとステュアート・ダンカンがアイドルという5弦フィドラーのクリスチャン・セルドマイヤー(来日もしたフェアウェルドリフターズのメンバーだった)、バークリー音楽院出身でロッキーグラスやテルライドフェスのコンテストでのマンドリンチャンプのデビッド・ゴールデンバーグ(md)、ETSU出身のロバート・トラップ(bj)、そしてベテランの米国伝統音楽研究家でもあるジョン・ファブク(bs)という超強力バンド。 なによりも、ブラッドの味わい深いボーカルと、そして意外(失礼!)なキャッチーなオリジナルのメロディがとてもいい。……その理由はさらに詳細解説参照!!

  ROU-0542 OPEN ROAD『In the Life』CD(本体\2,450-)\2,646-

旧譜ではありますが、10年前の2004年に発表されたブラッド・リー・フォークのリードボーカルをフィーチャーしたオープン・ロードのトラッドグラス秀作なので、ブラッドの初ソロデビューを祝ってここで紹介します。何よりも、ここで聴けるブラッドのシビアなスタンダードの数々、ルービン作でロイ・エイカフで知られる“Bald Knob Arkansas”を一曲目に、同じくルービンの大名曲“What A Change One Day Can Make”、ハーラン・ハワードが書き、1958年にチャーリー・ウォーカーでヒット、デル・マッカーリーでも知られる“Pick Me Up On Your Way Down”、1957年録音のジョージ・ジョーンズ作“One is a Lonely Number”。ブルーグラスからは知る人ぞ知るハイロンサム男ロイ・マクミランのアルバム『High Country』から“Mandy Jane”、レノ&スマイリーのドット録音でレノ作のカントリーバラッド“One Teardrop and One Step Away”、トラッドバラッド“Mountain Laurel”、そしてインストにはスタンレーブラザーズの“Suwannee River Hoedown”など。もちろんブラッドのオリジナル3曲もすばらしいが、とにかくここで聴けるカバーも聴きどころたっぷり、上述ブラッドの何ともいえぬリードボーカルの味をかみしめてみて下さい。

 ■インスト新入荷
  SH-4105 BRYAN SUTTON『Into My Own』CD(本体\2,450-)\2,646-

Cricket On The Hearth/That's Where I Belong/Ole Blake/Anyhow, I Love You/Cumberland Reel/Run Away/Frisell's Rag/Overton Waltz/Swannanoa Tunnel/Watson's Blues/Log Jam/Been All Around This World. 全12曲

これはこれは!至福のときが過ごせるトップミュージシャンによる現代ブルーグラスインストの一典型、ブライアン・サットン最新第5作。たとえば一曲目トラッドフィドル曲、ブライアン・サットンのシュアなフラットピッキンにつづいて、クリアなステュアート・ダンカンのフィドルとノーム・ピケルニーの超絶バンジョーが会話をはじめると、つづいてサム・ブッシュがまだ若いモンには負けんぞ!とばかりおしゃべりに加わり、ベースのデニス・クロウチも巻き込んでの特級ブルーグラスジャム。そして2曲目、最近歌いはじめたブライアンが、ロニー・マッカーリーのテナーを迎えてさらりと聴かせるブルーグラスソング。3曲目にはブライアンが尊敬するノーマン・ブレイクに捧げたオリジナル……など。 いわゆる「緊張と緩和」というんでしょうか、中にはクロウハンマーソロでのオールドタイミーなボーカルもの、伝説的ジャズギタリストのビル・フリーゼルとのデュオバトルにデニス・クロウチを加えたトリオによる前衛ラグ、ロニー・マッカーリーとのモンロー/ワトソンの再現などなども加え、うまく曲を並べて、ただテクニックの応酬のみではない自身の音楽観に正直な作品だ。

ブライアン曰く、「われわれの音楽はとても伝統的なものだ。わたしはドックのスタイルが大好きだしそれから離れたくないと思う一方、フラット&スクラッグス命で何も変えたくないというミュージシャンにもなりたくない。そのちょうど、中間がわたしのいたい場所」。 歌も含めて「自分にしかできない音楽」を探してみたという。「誰もここまで、偶然にやって来たんじゃない。あなたは自分自身を証明しなければなりません。そしてそれを証明し続けなければならないのです。わたしはそうやって吸収してきました」と結論づけるブライアン。21世紀版ハッピーミディアムな楽しいブルーグラス作品である。ちなみに、ムーンシャイナー誌ブライアン・サットンのカバースターリー、2009年8月号「最速のフラットピッキン……!?」(\540-)で特集あり。

  MRR-1017 SNYDER FAMILY BAND『Building Bridges』CD(本体\2,450-) CD\2,646-

Top Hat/Listen To His Word/Old Timer/Reed's Overture/Shadowy World/Trim Castle/Open Up This Heart of Mine/Blue Bottle Blues/Kneel Down and Pray/Folkston/Smoky Mountain Railway/Blockade Runner. 全12曲

前作『Stages』(\2,646-)からキッズピッカーやファミリーバンドといった括りを脱したゼブとサマンサ、今作では全曲オリジナル、インストとボーカルがほぼ半々でその素晴らしいミュージシャンシップを聴かせる。ゼブはなんと、典型的なブルーグラスソングでバンジョー、マンドリン、ドブロも完ぺきにこなして聴かせる。ウェイン・ヘンダーソンとジェラルド・アンダーソン作のアコギにおけるシュアなフラットピッキンはもちろん、ジェリー・リードがアイドルというナイロン弦での“Reed's Overture”、ボトルネックスライドをテーマにした“Blue Bottle Blues”など、その一音の成熟度は一級ミュージシャン、アダム・ステフィが自身のソロアルバムのギタリストに抜擢するのも頷ける充実ぶりだ。サマンサのフィドルもアドリブがこなせるようになり、そのトーンも一級ミュージシャンのそれに迫るようになり、定評のある清純なボーカルはデビューした頃のシェリルとシャロンのホワイト姉妹のような清々しさを聴かせる。本作には母レインと8歳の弟オウエンも参加、ブルーグラスがズーッと昔から家族で大切に受け継がれてきたものであることを再認識させてくれる。

  GHD-5916 JEFF TAYLOR『Tavern in the Town: Saloon Piano Favorites』CD(本体\1,980-)\2,139-

Buffalo Gals- Little Brown Jug/Oh, Dem Golden Slippers- The Yellow Rose of Texas/She'll Be Coming 'Round the Mountain- There is a Tavern In the Town/Home On The Range- Oh My Darling, Clementine/Red Wing- The Girl I Left Behind Me/Billy Boy- Bill Cheatham/Chicken Reel- Turkey In The Straw/Lorena/The Arkansas Traveler- Salt River/Darling Nellie Gray- Cindy- Little Liza Jane/Garyowen- The Irish Washerwoman/Red River Valley- Down In The Valley/Jenny Lind Polka/Jimmy Crack Corn- The Little Log Cabin In The Lane- Old Dan Tucker/Home! Sweet Home! 全15トラック

ナッシュビルのスーパーホンキートンクスウィングバンド、タイムジャンパーズのピアノ/アコーディオン奏者で、リッキー・スキャッグスのケンタッキーサンダーの準レギュラーでもあるジェフ・テイラー名義で発表された「酒場ピアノ集」。フォークソングやフィドル/バンジョーチューンとしても知られるトラッドスタンダード15トラック(ほとんどの曲はメドレー)を、いわゆるホンキートンクピアノ風に、音色も酒場風にしてピアノソロにアレンジしたもの。

 ■オールドタイム/フォーク新入荷
  RCSI-1099 ANYA HINKLE & JACKSON CUNNINGHAM『Old Time Duets』CD(本体\2,450-) \2,646-

Answer to Maple on the Hill/Leona/Will My Mother Know Me There?/Wild Bill Jones/True Life Blues/Finley's Bend/Moonshiner/Darlin Nellie Across the Sea/It's Me Again Lord /Going Across the Sea/Wild and Reckless Hobo/Josie-O/Budded on Earth (To Bloom in Heaven)/Gloryland. 全14曲

オールドタイムフィドルとピードモントブルースをベースに、自身のブルーグラスバンド、デリアローを結成(現在はタウンマウンテンのメンバーも加わり新バンド、テリコを立ち上げている tellicoband.com)。レベルレコードがら全米デビュー、マールフェスなどにも出演するアーニャ・ヒンクルが、オレゴン出身のジャクソン・カニンガム(m)とともに創った素晴らしいブラザーデュオ作品。スタンレーブラザーズやデリア・ベル&ビル・グラント、そしてヘイゼル・ディッケンズらの影響を受けたという彼ら、カーターファミリーからビル・モンローほか、有名トラッド曲がズラーっと並ぶ男女オールドタイムデュオのお手本、教科書のような秀作。

昨夏、北海道から関西を愛娘サチちゃんとフィドルを背負って、日系の夫ゲンとともに訪れたアーニャ・ヒンクル。その素晴らしい観察力によるリポート前編「北海道編」はムーンシャイナー1月号、後編「関西編」は5月号(共に各\540-)参照。

  TMR-209 THE HADEN TRIPLETS『Tanya, Rachel & Petra Haden』CD(本体\2,450-)\2,646-

Slowly/Single Girl, Married Girl/Voice from On High/Memories of Mother and Dad/Raining Raining/Making Believe/When I Stop Dreaming/My Baby's Gone/Billy Bee/Tiny Broken Heart/Lonesome Night/Will You Miss Me When I'm Gone?/Oh Take Me Back. 全13曲

オーネット・コールマンとの活躍で知られる高名なジャズベーシスト、チャーリー・ヘイデンがブルーグラスやオールドタイム音楽の大ファンであることは知られている。2008年、フレック、ブッシュ、ダグラス、ダンカンらにコステロやホーンズビー、メセニーらを迎えての『Rambling Boy』(UNI-1779165 \2,646-)という素晴らしいブルーグラスアルバムを発表している。そのアルバムにも登場したチャーリーの1971年10月11日生まれの三つ子の娘たちを、ヘイデン・トリプレッツとしてライ・クーダーがプロデュースした3姉妹のデビュー作。

それぞれに音楽活動をつづけていた3人が、おそらく父と、プロデューサーであるライ・クーダーがシビアに選んだ、麻田浩のペティブーカも真っ青のカーター・ファミリーからウェッブ・ピアース、キティ・ウェルズからルービンズ、そしてモンローやスタンレーなど、美味しい美味しい選曲で、シンプルにして美しいオールドタイミーハーモニーの秀作。ローランド・ホワイト直伝のライ・クーダーのマンドリンとギターにドラムとベースだけ(リッキー・スキャッグスのマンドリンが3曲以外)という超シンプルなアコースティックにギミックない素直なボーカル、ハーモニーが心地良い。クリス・シーリ&マイケル・デイヴズにも協力したジャック・ホワイトのサードマンレコードからのリリース。

  NONE795913 OST『Inside Llewyn Davis』CD(本体\2,450-) CD\2,646-

Hang Me, Oh Hang Me (Oscar Isaac)/Fare Thee Well: Dink's Song (Oscar Isaac & Marcus Mumford)/The Last Thing on My Mind (Stark Sands with Punch Brothers)/Five Hundred Miles (Justin Timberlake, Carey Mulligan, Stark Sands)/Please Mr. Kennedy (Justin Timberlake, Oscar Isaac, Adam Driver)/Green, Green Rocky Road (Oscar Isaac)/The Death of Queen Jane (Oscar Isaac)/The Roving Gambler (The Down Hill Strugglers with John Cohen)/The Shoals of Herring (Oscar Isaac with Punch Brothers)/The Auld Triangle (Chris Thile, Chris Eldridge, Marcus Mumford, Justin Timberlake, Gabe Witcher)/The Storms Are on the Ocean (Nancy Blake)/Fare Thee Well: Dink's Song (Oscar Isaac)/Farewell (Bob Dylan)/Green, Green Rocky Road (Dave Van Ronk). 全14曲

2000年公開の映画『オーブラザー!』で、21世紀のフォークリバイバルと騒がれた「オーブラザー現象」を生んだ同じ、コーエン兄弟の脚本/監督、T.ボーン・バーネット音楽という布陣で昨年、第66回カンヌ国際映画祭グランプリ受賞ほか、高い評価を受け今月末から日本公開される映画『インサイド・ルーウィン・デイヴィス:名もなき男の歌』のオリジナルサウンドトラック作品。

T.ポーンが世界最強のストリングバンドと絶賛するパンチ・ブラザーズを中心に、ジョン・コーヘン参加のブルックリンのオールドタイムバンド、ダウンヒル・ストラッグラーズ“Roving Gambler”やカーターファミリー“Storms Are on the Ocean”を真摯に演じるナンシー・ブレイク、またトム・パクストン名曲“Last Thing on My Mind”をパンチブラザーズと演じる俳優スターク・サンズ、“500マイル”を歌うのはアイドル/俳優からポップグループのインシンクの成功などで知られるジャスティン・ティンバーレイクや、世界的なポップロックアーティストとなったバンジョーをフィーチャーしたイギリスのバンド、マムフォード&サンズのマーカス・マムフォードらの超メジャーアーティスト、そして映画のテーマとも言える“Fare Thee Well”を歌う主役オスカー・アイザックからボブ・ディランの未発表曲“Farewell”、そして映画の原作となった伝説のフォークシンガー、デイブ・バン・ロンクの曲でアルバムは閉じられる。

1960年代初頭のニューヨークのフォークブーム前夜を描いた映画、若きボブ・ディランが憧れたデイブ・バン・ロンク(映画ではルーウィン・デイヴィス)の周囲には当時、グリーンブライアーボーイズやニューロストシティランブラーズら、ブルーグラスやオールドタイムのミュージシャンたちがトラッド(伝統音楽)を担って活躍、フォークシンガーたちのバックボーンとなっていたこともあった……。そんな様子が聴こえてくるようなサントラ盤である。

 ■カントリー新入荷
  ROU-9184 CARLENE CARTER『Carter Girl』CD(本体\2,450-)\2,646-

Little Black Train/Give Me The Roses (While I Live)/Me And The Wildwood Rose/Blackie's Gunman/I'll Be All Smiles Tonight/Poor Old Heartsick Me/Troublesome Waters/Lonesome Valley 2003/Tall Lover Man/Gold Watch And Chain/Black Jack David/I Ain't Gonna Work Tomorrow. 全12曲

1927年に東テネシーのブリストルで発掘されたカーターファミリーの音楽は現在もさまざまな形で、世界中に伝えられている。昨秋、上海のコンビニで“Will You Miss Me”の現代版を聴いたときには、あまりの驚きにとりみだし!?てしまったし、長渕某が“Faded Coat of Blue”とほとんど同じメロディのヒット曲を自作として発表したとしても、伝承曲の運命といえばそれまでかもしれないが、とにかくアパラチアの山深くまで伝わった19世紀のアメリカンポピュラー音楽の威力は凄い。

本作は、オリジナルカーターファミリーの孫世代でもっともアクティブな、マザー・メイベル・カーターの娘、ジューン・カーター・キャッシュと前夫カール・スミス(1950年代のカントリースター)の間に生まれたカーリーン・カーターによるカーターファミリー曲カバーを軸に、その伝統を継承したオリジナルを含んだ最新作。ゲストボーカルにビンス・ギル、エリザベス・クック、ウィリー・ネルソン、クリス・クリストファーソン、最後の曲“I Ain't Gonna Work Tomorrow”では母ジューンを含むメイベルの娘たちヘレン、アニタらのカーターシスターズや義父にあたるジョニー・キャッシュらも参加した録音。ローリングストーンズやディランのプロデュースで知られる現ブルーノートレーベル社長、ドン・ウォズのプロデュースは、T.ボーン・バーネットらと共通のアーシーなロックサウンドといった趣向。

 ■映像モノ新入荷
  BBB-001 V.A.『Maryland Banjo Academy 1998: Banjo Bash at Buckeystown』DVDカラー100分(本体2.750-)\2.970-

1998年11月6日から3日間、バンジョーニューズレター誌主催、『Maryland Banjo Academy: Banjo Bash at Buckeystown』メリーランド州バッキーズタウンに全米からバンジョーファンが大集合!ブルーグラスとオールドタイムのトップミュージシャン20組を集めたバンジョーファン必見映像集!

西アフリカのンゴニ(ngoni)を弾くマリ共和国出身のシェイク・ハマラ・ジュバテから、同じ大西洋を渡ったトム・ハンウェイ(1961-)が開発したアイリッシュスリーフィンガースタイルにはじまり、研究家で製作家でもあるボブ・フレッシャーによる“O Susannah”をはじめとするミンストレル時代のクロウハンマーと歌。そしてビル・キース(1939-)のフィドルチューンメドレー“Salt Creek/ June Apple/ Cherokee Shuffle/ Devil's Dream”、そしてツーフィンガーを含めてあらゆるスタイルとチューニングを駆使して素晴らしいオリジナルを聴かせるトニー・エリス(1939-、ビル・モンローのブルーグラスボーイとして22曲の録音を残している)。オリジナリティでは、スクラッグス/キース後のバンジョー奏者に絶大な影響を与えたトニー・トリシュカ(1949-)の“King Fisher's Wing”と“Garlic and Sapphires”、スリーフィンガーの可能性を果てしなく拡げた功績は計り知れない。

つづいて登場するのはマイク・シーガー(1933-2009)2曲、父親の伝統を見事に受け継ぐドン・ウェイン・レノ(1963-)は“My Old Kentucky Home”や“Remington Ride”。つづいてフレットレスバンジョーで激しいクロウハンマー“を聴かせるリード・マーティン。バンジョー博士のひとり、ビル・エバンズが登場、そして出ましたリロイ・トロイ(1966-)! 20世紀初頭の大人気エンターテイナーであったアンクル・デイブ・メイコンの再来を思わせる超絶エンタメはその強烈な南部弁と一体化した(実にアールと同様にシラブルで弾く)クロウハンマーバンジョーの弾き語り。つづいてブルーグラスバンジョーを美学と捉えた第一人者ビル・エマーソンとクロウハンマーのマーク・ジョンソンのコンビから、クロウハンマーのドワイト・ディラー、そしてエディ・アドコックが“The World Is Waiting for the Sunrise”など2曲。

マーフィーとケーシーのヘンリー母子“John Henry”から、ブルース・モルスキとレイフ・ステファニーニのオールドタイムフィドル&バンジョー、そしてベラ・フレックの“Cripple Creek”でスクラッグスにはじまるインドのタブラ奏者との6分に及ぶ自在なインプロバイズ……!! つづいてジャック・ハットフィールド、ケン・パールマンらバンジョーニューズレター誌でお馴染のコラムニストがつづき、最後はマイケル・マイルズのクロウハンマーバンジョーによるクラシック“Suite for the Americas”まで、タップリと……皆さんのバンジョーへの愛を共有、またお確かめ下さい...!?

 最近作/お勧め作、再入荷
 (すでに新入荷で紹介済の作品たちです)
 ■月刊ムーンシャイナー特集/関連作品
 (最新5月号、各特集の話題作品です)
  COMP-4616 NOAM PIKELNY『Plays Kenny Baker Plays Bill Monroe』CD(本体\2,450-)\2,646-

5月号のカバーストーリーは、ベラ・フレック以降のトップを走るパンチブラザーズのバンジョー奏者ノーム・ピケルニーがブルーグラスコミュニティへの愛を語ります。そんなノーム、昨秋発表のの大ベストセラー最新作。ブルーグラスフィドルの一典型を創ったケニー・ベイカーがビル・モンローの有名インストをカバーした1976年のブルーグラス史上に残る名盤『Kenny Baker Plays Bill Monroe』(CO-2708 \2,646-)を、現在ブルーグラスの最高峰であるノームのほか、ステュアート・ダンカン(f)、ロニー・マッカーリー(m)、ブライアン・サットン(g)、マイク・パブ(bs)がそのまんまカバー。あらゆる種類の先入観を飛び越えて、自らの心の動きを音に載せていくその自由な発想とテクニックには完全脱帽、そこまでに至る努力と愛情にただただ感動で、1970年代おじさん達ニヤニヤ・ウキウキの大秀作!!

ちなみにノームの前作『Beat The Devil and Carry A Rail』(COMP-4565 \2,646-)は、素晴らしいオリジナルを中心にした21世紀ブルーグラスバンジョー傑作にして激しくお勧め! アールやベラも登場するその超豪華なプロモビデオ(Bluegrass Diva で検索)とともに大推薦!!

  RCSI-1101 DEHLIA LOW『Tellico』CD(本体\1,980-)\2,070-

昨夏、愛娘サチちゃんとフィドルを背負って、夫ゲンとともに来日したアーニャ・ヒンクル、5月号では彼女が観た日本ブルーグラスリポート後編「関西編」(リポート前編「北海道編」はムーンシャイナー1月号参照)。本作は、アーニャのボーカルを中心に2007年に結成、2009年のこのアルバムの成功でマールフェスへの出演やレベルレコードからの全米デビューをものにしたノースカロライナを本拠にした若いブルーグラスバンド、デリアロウの自費制作品。アーニャのアパラチアン・ブルース(ブルーリッジ育ちで、大学時代にピードモントブルースを学んだという)といった風のハスキーで気だるい系の魅力的なボーカルを中心に、若者たちがそれぞれのオリジナリティを持ち寄って創り上げた労作。

  RCSI-1099 ANYA HINKLE & JACKSON CUNNINGHAM『Old Time Duets』CD(本体\2,450-) \2,646-

昨夏、北海道から関西を愛娘サチちゃんとフィドルを背負って、夫ゲンとともに訪れたアーニャ・ヒンクル(そのリポート前編「北海道編」はムーンシャイナー1月号、後編「関西編」は5月号参照)が、ジャクソン・カニンガム(m)とともに創った素晴らしいブラザーデュオ作品。男女オールドタイムデュオの教科書のような秀作である。初紹介につき、オールドタイム/フォーク新入荷参照。

  MH-1462 BOXCARS『It's Just A Road』CD(本体\2,450-)\2,646-

5月号特集「ハンバートハンバート、佐藤良成インタビュー」で、彼のお気に入りバンド、ザ・ボックスカーズの最新作。IBMA最優秀インストグループ賞を軽々と獲得したそのドッキマリが最初の曲、ジェリー・リードの気色いい"You Took All the Ramblin' Out of Me"で、バンジョーイントロからバチーンと耳に飛び込んでくる出来すぎのアンサンブルと各楽器の呼吸、そしてジョン・ボウマン(f)の実にあっさりとしたブルーグラスボーカルがホッとさせてくれる。これは、やっぱ、21世紀の今、ブルーグラス・メインストリームを代表するサウンド/アンサンブルに違いない。ほかに"Coal Miner's Blues"などカーターファミリーが2曲、ビル・モンローの"Never Again"はバリバリのソリッドグラスに(ジャケット上のハンク・ウィリアムズ作は誤り)、1920年代のジャズブルース"Trouble in Mind"はアダム・ステフィ(m)のバリトンボイスでほか、古いヒムなどに、キース・ギャレット(g)のオリジナルが3曲、ロン・スチュワート(bj)のオリジナルが2曲(内1曲はバンジョーインスト)、ハロルド・ニクソン(bs)もしっかりお仕事、非常に選曲バランスも良い。ブルーグラスで大切にされる縁の下の力持ち、すなわち、サイドマンと呼ばれるバンドのメンバーたち、そんな中でも飛びっきりの面子を集めたことで、あっという間にトップバンドとなったザ・ボックスカーズ。1曲目のジェリー・リードから最後のカーターファミリーのストレートグラスまで、実に安心して聴いていられる、1970年代のニューサウスサウンド直系、現在メインストリーム・ブルーグラスアンサンブルの最高峰だろう。

  ACU-RS3 RON STEWART『The Fiddlers of Flatt & Scruggs』DVD教則 67分、楽譜付(本体\4,950-) \5,198-

The Girl I Love Don't Pay Me No Mind/We'll Meet Again Sweetheart/My Cabin in Carolina/No Mother or Dad/Why Don't You Tell Me So/Earl's Breakdown/Thinking About You/Honey You Don't Know My Mind/Foggy Mountain Special/Let Those rown Eyes Smile at Me/Shuckin' the Corn.

連載「フォギーマウンテンフィドル列伝C」で絶賛したジミー・シューメイトの"We'll Meet Again Sweet Heart"(key of B)の完全コピーをはじめ、お馴染のフラット&スクラッグス録音でいかにフィドルが弾かれていたか、現在に至るブルーグラス・フィドル奏法の一翼を担った歴代フラット&スクラッグスのフィドラーたちのすばらしいイントロや間奏の数々をロン・スチュワートが、手取り足取り教えてくれる中級者以上向け教則ビデオ。シビアなブルーグラスフィドラー、ないしは楽器妙技好きのリスナー必見ビデオ!

  HER-651 JIM SHUMATE 『Collection Volume 1』CD(本体\2,450-)\2,646-

フラット&スクラッグスに“We'll Meet Again Sweetheart”と“Cabin In Caroline”のたった2曲だけを残して地元で家具セールスマンをまっとうした伝説的フィドラー、ジム・シューメイト。しかし、むかし取った杵柄、地元で演奏を続けていたという。そんな彼を1992年、ゲイラックスのレコード会社ヘリテイジが採算度外視で録音、合計5本のカセットアルバムを発表、そこから24曲を選んで1999年に発表された作品がこれ。最初の92年録音時でも71歳、そのブルーグラス魂溢れんばかりの覇気は素晴らしいが技術的衰えは仕方ない。それでも、フィドルチューン19曲、歌物5曲からは、アーサー・スミス伝来のブルージーな左指の表現と弓さばきにブルーグラスフィドルが生まれていく過程を垣間見る気がする。ブルーグラスの歴史に敬意を表したい。

 ■ムーンシャイナー5月号レビュー紹介作品
  REB-1850 RALPH STANLEY AND RALPH STANLEY II 『Side By Side』CD(本体\2,450-)\2,646-

ファイナル・ツアーを継続中の人間国宝ラルフ・スタンレー(87)、最新作は息子ラルフ二世と素晴らしいコラボ。親子共演でオープリーにも出演。スタンレー・ブラザーズ時代の雰囲気が蘇る。

  RCSI-1104 CARPER FAMILY『Old-Fashined Gal』CD(本体\2,450-)\2,646-

オースチンで活躍する女性アコースティック・トリオ。フォーク、ブルーグラス、スウィング等々、心癒されるハーモニーが魅力。

  MFR-131008 EDGAR LOUDERMILK 『My Big Chance Tomorrow』CD(本体\2,450-)\2,646-

サード・タイム・アウトのベース奏者のソロプロジェクト。ショーン・レイン、ジョン・コーワン、ジュニア・シスク、バディ・メルトン等、豪華なゲスト・ボーカル。

  RUR-1117 BILL EMERSON & SWEET DIXIE『Dancin' Annie』CD(本体\2,450-)\2,646-

カントリージェントルメンの創始者で、レッド・アレンやジミー・マーティンの最盛期をともにしたブルーグラス音楽界でもっとも影響力のあるバンジョー奏者のひとり、ビル・エマーソンとスウィートディキシーの最新作。

  NONE541944 NICKEL CREEK『Dotted Line』CD(本体\2,450-)\2,646-

なーんとビルボード初登場総合部門7位! ハッキリ言ってメジャーバンドとなったニッケル・クリーク、7年ぶりに再結成、2週間をかけて練りに練った9年ぶりの最新作である。

  OLW-1820 BLUE VELVET BAND『Sweet Moments with.』CD (本体\2,750-)\2,970-

リチャード・グリーン、ビル・キース、ジム・ルーニー、エリック・ワイズバーグ等によるブルーグラス・フィーリング溢れる東海岸カントリーロックの1969年名盤復刻CD。

 ■ブルーグラス最近作/お勧め作
  REB-1854 JUNIOR SISK & JOE MULLINS『Hall of Fame Bluegrass!』CD(本体\2,450-) \2,646-

話題のトラッドグラス作品、ボーカルとギターのジュニア・シスクとテナーとバンジョーのジョー・マリンズ共演による「温故知新」カバー特集。オズボーンとレッド・アレンの1曲目“Wild Mountain Honey”から、マック・ワイズマン、ビル・クリフトン、ビル・モンロー、ジミー・マーティン&ポール・ウィリアムズ、チャーリー&カーリー・レイ・クライン(ロンサムパインフィドラーズ、フランク・ウェイクフィールド)、ドン・レノ、J.D.クロウ、ドック・ワトソン、デル・マッカーリー、カーター・ファミリー、フラット&スクラッグス、ジム&ジェシーのIBMA名誉の殿堂入りした13組の渋いシブイ13曲。バージニアのブルーリッジど真ん中出身のジュニアとオハイオ・ブルーグラス(アパラチアより濃い!?)の伝統を継ぐジョーのふたりに、ジェイソン・カーターの入魂感情炸裂フィドル、ジェシ・ブロックの頭脳マンドリン、そしてマーシャル・ウィルボーンの落ち着いたベース。ジュニアとジョーのデュオをメインに曲によってはトリオやカルテットも。まさに知る人ぞ知る「これがアーリーグラスだ!」協演、ストレートなブルーグラスファン必携作品!!

  JBB-2013 TERRY BAUCOM『Never Though of Looking Back』CD(本体\2,450-)\2,646-

何と言っても一曲目からサム・ブッシュ独特のメロディーの創り方が全編に渡って快感!久々のブッシュ節マンド全開(近年の創られ過ぎトーンではない、NGR時代を髣髴する生音が懐かしい!?)。またサムがリードを歌うフラット&スクラッグスの小ヒット名曲“Just Ain't”のご機嫌なこと! ジェリー・ダグラスのドブロからジョッシュ・グレイブスの魂と弾き方ノウハウのイロハが溢れ出ているぞ!この作品、何と言ってもそれ、サムとジェリーの全編参加でしょ...!!? 「昔を振り返るなんて、思っても見なかった」というタイトル通り、ジェリーとスティーブ・ブライアント(ebs)というふたりに、アルバムの売りと思われる2曲目“Martha White, Lester and Earl”にウェス・ゴールディングの曲を持ってくるという、リッキー・スキャッグスだけが参加を見送ったブーンクリーク時代回顧作品ともいえそうな楽しいアルバム。ほかにジョン・カウワン、バルサム・レンジのバディ・メルトン、ジョン・ランドール・スチュワート、デビッド・メイフィールド、マーティ・レイボンらゲストによるボーカル作品である。

  RCSI-1102 IRENE KELLEY『Pennsylvania Coal』CD(本体\2,450-) \2,646-

一曲目の出だし、このベースとバンジョーを聴いただけで、「ウッ!」と引っかけられてしまう素晴らしいサウンド、そしてクレア・リンチと同系のとてもやわらかなベルベットボイスのアイリーン・ケリー。「えっ?誰だって、バックは!?」……いや、ま、言っちゃえば当たり前なんですが、マーク・フェイン(bs)、ブライアン・サットン(g,bj)、ステュアート・ダンカン(f)、アダム・ステッフィ(m)、リン・ウィリアムズ(perc)が基本バンドだから、ネ。コーラス陣には、クレアのほか、ロンダ・ビンセント、デイルアン・ブラッドリー、トリーシャ・イヤーウッドほか有名男性陣。ブルーグラスベースのポップなアコースティックは、キャリアがありながら無名だが、子育てを終えて戻ってきたベテラン女性ブルーグラッサー、強力お勧めのメチャ素晴らしい秀作である。ブルーグラス詳細解説参照

  COMP-4600 PETER ROWAN『The Old School』CD(本体\2,450-)\2,646-

凄いです!……ピーター・ローワン、70歳になった今もこの創作能力と、なによりも音楽力=音と詞に向かう精神力。タイトル通り、ジェシー・マクレイノルズやボビー・オズボーンらブルーグラス第一世代をゲストに、本物のブルーグラスの「やり方」を見せ付ける。「クリーンに弾き、誠実に歌うこと……それは時代が変わってもおんなじなんだぜ!!」と繰り返すアルバムタイトル曲のテーマ。ブルーグラス詳細解説参照

  RCSI-1103 WINDY HILL 『Lonesome Garbage Man』CD(本体\2,450-)\2,646-

Pinecone Banjo/My Little Darlin's Shoes/Kentucky Crawdad/What Are You Doing Here Today?/You Cheated Three Times/Baby Down the Line 他全18曲

今どき……、サンフランシスコ湾に面したパロアルトのメンローパーク高校の17歳ふたり、ヘンリー・ウォード(m)とライアン・ブリーン(bj)が木工工作の授業中、やすりで木を磨きながらライブ音楽について話し合っているとともに、ビル・モンローとカーター・スタンレー、そしてジミー・マーティンの歌が大好きなことが判明、「ならバンドを作ろう」と楽器と歌を習い始めたのがウィンディ・ヒルのスタートだったという。全米でも最先端ハイテク産業地域に住む高校生がこんなブルーグラスをやる驚き……!?

太平洋とサンフランシスコ湾を隔てるライアンの住む裏庭から見える丘の名前をバンド名に2008年、コロラドでシンガーのトーマス・ウィリー(g)と結成、2009年にはカリフォルニアに戻り、もうひとりの高校時代の同級生カイル・マッケイブ(bs)が参加、2010年以降、その超トラッドな方向性にもかかわらずロッキーグラスでのバンドコンテスト2位をはじめ、高い評価を得ているという。古くはバーン&レイやハイカントリー、現在もアール・ブラザーズをはじめ、カリフォルニア北部サンフランシスコ周辺のトラッドグラスはすでにアパラチアのバンドよりもホンモノ臭いのが魅力だ。

ゴツゴツとした、しかしオリジナリティ溢れるスタンレー的バンジョーとモンロー的マンドリンを主役にしたセンスのいいインストが3曲ずつの6曲のほか、レノ&スマイリーの“Baby Down the Line”とバーンの息子デル・ウィリアムズの“What Are You Doing Here Today”カバー以外は、アーリーブルーグラスを思わせるオリジナル10曲の全18曲。

  REB-1851 JUNIOR SISK & RAMBLERS CHOICE『The Story of the Day That I Died』CD(本体\2,450-) \2,646-

現在トラッドグラスのもっとも安定したサウンドを聴かせるジュニア・シスク&ランブラーズチョイス最新作。ソニー・オズボーンが美しいアール流バンジョーインストにした"Jesse James"をバンジョー奏者ビリー・ホウクスは「Key of B」で、ドライブのかかった見事なロールの引っ掛かりを聴かせてくれたり、トラッド曲"Jack and May..."ではじまるスタンレー・ブラザーズで知られる"Lover's Quarrel"、フラット&スクラッグスを思わせるkey of Gのビッグサウンドが心地いい"Old Bycycle Chain"は、久々に今秋来日予定のビリー・スミス作、最後のとてつもなく早い"Drinking at the Water Hole"はやっぱりのラリー・スパークス作など、「演奏する彼らは第三世代だがどの曲にも第一世代のタッチが感じられる」という評がうなずける秀作。昨年のIBMA最優秀アルバムとソングをダブル受賞、ライマン公会堂で男泣きしたジュニア・シスク、現在もっとも素直に聴けるトラッドグラスのひとつだろう。

  MFR-130423 SPINNEY BROTHERS『No Borders』CD(本体\2,450-)\2,646-

全米ブルーグラス・チャート(毎月ムーンシャイナー掲載)でトップの常連になっているスピニー・ブラザーズ昨夏の最近作。1960年代、日本の学生バンドもよく取り上げたケンタッキートラベラーズの"The Moon Saw Me Crying"や、カーター・スタンレーのスタンダード"Think of What You've Done"などのカバーほか、現在のブルーグラスソングライターたちのストレートなブルーグラス曲を取り上げ、丁寧なトラッドグラスサウンドを聴かせる14曲集。アラン(g)とリック(bj)のスピニー兄弟にゲリー・ダリンプル(m)、ダリル・ヘッブ(bs)というメンバーに、トラッドグラスサウンドに合わせてアグレッシブながらもストレートなブルーグラスフィドルに抑えたロニー・スチュワートとドブロにロブ・アイクス(d)、そして1曲のみだがスピニー兄弟が崇拝するスタンレー・ブラザーズ直系のラルフ・スタンレーUがボーカルで参加、ストレート(古風!?)なブルーグラスサウンドがとてもいい。ロン・スチュワートのフィドルがブルーリッジ系サポートのときとはまったく違ったフレージングになるのも聴きものである。

  COMP-4599 GIBSON BROTHERS『They Called It Music』CD(本体\2,450-)\2,646-

昨年、ついにIBMA最優秀エンターテイナーを獲得、ブルーグラスの伝統的な手法であるブラザーデュオを看板に、現在ブルーグラス界の頂点に立ったギブソン・ブラザーズの最新作は、前作と同様、兄エリック・ギブソンとジョー・ニューベリー(マイク・コンプトンとのデュオ作が評判)との共作をタイトルにしたシンプルで、誠実な作品。2010年に"Ring the Bell"(同名アルバム)で最優秀ソング、2011年には『Help My Brother』で最優秀アルバムと最優秀ボーカルグループ、そして2012年にIBMA最優秀エンターテイナーと、アリソン・ブラウン主宰するコンパスに移籍したのちの三年間のアルバム三枚で確実にステップアップした彼ら、兄のエリック(bj)と弟レイ(g)、そしてもうひとりの兄弟とも言えるマイク・バーバー(bs)の3人(プロデュースも)に、バークリー音楽院マンドリン専攻一期生のジョー・ウォルシュ(m)とクレイトン・キャンベル(f)、コンパスの三作で不動の5人組である。かれらの決してやり過ぎない品のいいバックアップに、特徴的なオリジナルソングとマーク・ノップラーやロレッタ・リン、そしてハンク・ウィリアムズ"Sundown and Sorrow"を見事なアーリーブルーグラス名曲にしてしまうなどの選曲も秀逸。

  COMP-4615 FAREWELL DRIFTERS『Tomorrow Forever』CD(本体\2,450-)\2,646-

フェアウェル・ドリフターズ、1960年代のウエストコーストにタイムスリップしたご機嫌な若者バンド! いよいよコンパスレコードから全米デビューだ!! 10年ほど前、ケンタッキー生まれのジョシュア・ブリット(m)が西ケンタッキー大学(サム・ブッシュの故郷ボウリンググリーン)でブルーグラスを発見、ヘビメタ弟クレイトン・ブリット(g)を引き摺り込むとたちまちクラレンス・ホワイトにノックアウトされ、ふたりでナッシュビルに仲間を探しに行ってベルモント大学のキャンパスで出会ったのがザック・ベビル(g)、そして自費制作『Sweet Summer』を発表、ナッシュビルに移ってアンダーグラウンドで高い評価をとった2枚、2010年『Yellow Tag Mondays』(本体\2,450-)、2011年『Echo Boom』(本体\2,450-)は一貫して1960年代のウエストコーストに、まったくあたらしいメッセージを載せた懐かしいサウンドを聴かせてくれる。2012年秋に来日、山形の国際交流プログラムだったが、東京音楽大学で若い日本のブルーグラッサーとの交流もした彼ら、ムーンシャイナー2010年6月号には「60年代ウエストコーストの風に吹かれて……」、そして来日を記念したカバーストーリー特集が2012年9月号にある。若者たちがブルーグラスをベースにまったくあたらしい(懐かしい)サウンドで現代の若者たちの熱い支持を集めている。モンローやフラット&スクラッグス、スタンレーからは少し距離があっても、どこかで固く強く結ばれた彼らの音楽を聴いていると、大きな未来を感じる高揚感がある。ぼくら、還暦を過ぎても愛はあるし、夢はあるんだ……、頑張れ若者!

  ROU-9170 BLUE HIGHWAY『Game』CD(本体\2,450-)\2,646-

バンド結成20周年! なんと!結成時と、同じメンバー!! 変幻自在なフラットピッキンとソングライティングのティム・スタッフォード(現在のAKUSサウンドの土台を創ったと言われるETSU出身)、透き通ったテナーボイスと趣味良く飛ぶマンドリンとフィドルのショーン・レーン(ドイル・ローソンのクイックシルバーやリッキー・スキャッグスのケンタッキーサンダー出身)、ブルーグラスドブロの第一人者となったロブ・アイクス、几帳面なジェイソン・バールソンのバンジョー、そしてティムとショーンと並ぶもうひとりのリードシンガー、ウェイン・テイラーのベース。すべての楽器が繊細に織りなすアンサンブルに囲まれて、東テネシー的アパラチア風トラッドグラスと、セルダムシーンにもどこか通じるDCグラス的モダンさを兼ね備えた、スバ抜けたスーパーピッカー/シンガーがいるわけではないにも関わらずトップクラスのブルーグラスバンドとして20年間、着実な活動を続けるすばらしいバンドだ。

  COMP-4627 SPECIAL CONSENSUS『Country Boy: a Bluegrass Tribute to John Denver』CD(本体\2,450-)\2,646-

Wild Montana Skies/Take Me Home, Country Roads/Back Home Again/Thank God I'm A Country Boy/Poems, Prayers and Promises/Matthew/Sunshine On My Shoulders/Eagles and Horses/This Old Guitar/Rocky Mountain High. 全10曲

ジョン・デンバー曲集と聞いて引くんじゃない! しかもスペシャル・コンセンサス……知らんなぁ!?なーんて言うんじゃない!! たとえば、“Thank God I'm a Country Boy”をインストにしちゃって、グレッグ・ケイヒルのバンジョーにアリソン・ブラウンが絡んだツインで凄いハッピーなアドリブ合戦、あのバディ・スパイカーとマイケル・クリーブランドのツィンフィドルがハイテンションでイキまくり、ついには最後に全員が“Thank God I'm a Bluegrass Boy”と叫ぶとか……、あの“Take Me Home, Country Roads”をジョン・カウワンが歌い、コーラスでテナーに回りその一番高いところをヒットしているとか……、その間奏の見事な現代ブルーグラスセンスによるアレンジとか……。ロンダ・ビンセントが“Sunshine on My Shoulder”を絶唱するとか……、ピーター・ローワンが歌う“Rocky Mountain High”なんて聴きたくないですか? ゲストにはほかに、男声にジム・ローダーデイル、女声群にクレア・リンチ、デールアン・ブラッドリーなど! そしてなにより、IBMA(国際ブル―グラス音楽協会)理事長を長年務めたとてもいい奴グレッグ・ケイヒルが率いるバンドメンバーのリック・ハリス(m)とダスティン・ベンソン(g)のバカ上手さ!! ほんわか爽やかなジョンデンバー歌曲をここまでブルーグラスる手腕に脱帽しよう。チョー楽しいお勧め作品!

 ■女性ブルーグラス/オールドタイム
  RCSI-1102 IRENE KELLEY『Pennsylvania Coal』CD(本体\2,450-)\2,646-

一曲目の出だし、このベースとバンジョーを聴いただけで、「ウッ!」と引っかけられてしまう素晴らしいサウンド、そしてクレア・リンチと同系のとてもやわらかなベルベットボイスのアイリーン・ケリー。「えっ?誰だって、バックは!?」……いや、ま、言っちゃえば当たり前なんですが、マーク・フェイン(bs)、ブライアン・サットン(g,bj)、ステュアート・ダンカン(f)、アダム・ステッフィ(m)、リン・ウィリアムズ(perc)が基本バンドだから、ネ。コーラス陣には、クレアのほか、ロンダ・ビンセント、デイルアン・ブラッドリー、トリーシャ・イヤーウッドほか有名男性陣。ブルーグラスベースのポップなアコースティックは、キャリアがありながら無名だが、子育てを終えて戻ってきたベテラン女性ブルーグラッサー、強力お勧めのメチャ素晴らしい秀作である。

  PR-1503 NEWTOWN『Time Machine』CD(本体\2,450-)\2,646-

J.D.クロウのニューサウスが育ったケンタッキー州レキシントンに生まれた、透明感のある美しくデリケートな女性ボーカル、ケティ・ペン・ウィリアムズ(f)を軸に、とても趣味のいいサウンドを創るニュータウンの最新第2作。夫のジュニア・ウィリアムズのバンジョー(うまい!)にボーカル、これまたともにケティのボーカルとフィドルと同様にバランスの取れた素晴らしいもの。ギターとボーカルのC.J.ケインのすばらしいオリジナル6曲(とてもいい!!)を提供、マンドリンのクリント・ハードも素晴らしい。ベースにはカナダからテリー・ポイリアー。“Handsome Molly”を下敷きにしたようなガイ・クラーク作の“Dubblin' Blues”は秀逸だ。ほかにレボン・ヘルムの“A Train Robbery”(ポール・ケナリー作)などもカバー。すばらしい女性&男性ボーカルに、スーパーピッキンが素晴らしい若い新バンドだ。

  SMM-1008 ALICE GERRARD『Bittersweet』CD(本体\2,450-)\2,646-

1960年代初頭、ビル・モンローの強力な後押しでヘイゼル&アリスとして、初の女性ハイロンサムサウンドを提示。1970年代以降、本作のプロデューサーでもあるローリー・ルイスをはじめアリソン・クラウスら、女性ブルーグラス隆盛の基礎を創ったコンビのひとり、アリス・ジェラードの最新作。ブライアン・サットン(g)、ステュアート・ダンカン(f)、トッド・フィリップス(bs)、ロブ・アイクス(d)、トム・ロザム(m)をバックに、アパラチアンバラッドからブルース、軽いスウィング、そしてホンキートンクなど、「正味」の女性ボーカルを聴かせてくれるアリスのソロ第3作目。ジャンルに無関係なアパラチアのムード一杯の、アリスが人生の中で印象に残った言葉や光景を曲にしたという10曲の新曲と3曲の再録、ローリーが2013年に発表したアリスの素敵なソロアルバムだ。

  UM-07 RHONDA VINCENT『Only Me』CD2枚組(本体\2,750-)\2,970-

ブルーグラス・クィーンという称号にたがわぬ完璧なブルーグラスを聴かせる1枚目と、ナッシュビルカントリーの2枚目の2枚組、各6曲全12曲ながら、くっきりと音楽意図を分けたロンダ・ビンセントの最新作。ブレント・バークの強烈ドブロほか、ジョッシュ・ウィリアムズとハンター・ベリー、アーロン・マクダリスら若手の強烈テクと完璧ハモに、なーんとウィリー・ネルソンがゲストのブルーグラス。一方、カントリーはむせぶスティールとフィドルなど邪魔をしないバックアップで“Once a Day”、“Beneath Still Waters”、“Bright Lights & Country Music”ほかの名曲カバー中心。明らかにバンドサウンドで出来上がるブルーグラスと、シンガーの歌唱力がすべてと言っていいカントリー、善し悪しではなく音楽の目的が違うことがよく分かる2枚組。もちろん、ともに完璧!

  COMP-4610 CLAIRE LYNCH『Dear Sister』CD(本体\2,450-)\2,646-

いつまでも可憐なボーカルが聴く者を癒すクレア・リンチ。もう、なんとも言いようのないすごーい若手ピッカーたちの創る最高級のアコースティック・アンサンブルに乗って、とても59歳とは思えない若々しいワクワクとするような歌声とメッセージを届けてくれる。近年彼女が良く取り上げるオズボーンとピート・ゴーブルの名曲、本作でも“I'll Be Alright Tomorrow”を見事に演じているほかは自身のオリジナルを含む比較的モダンなサウンド志向の新曲(タイトルはルイーザ・ブランスコムとの共作)が中心だが、バンジョーレスのすばらしいマンドリン/フィドル/ギター/ベースのみで(曲によっては軽いスネアやハモンドB3なども加えるが)演じきる。ゲストは1曲目にロブ・アイクス、2曲目でティム・オブライエン。アリソン・ブラウンのバンジョーを迎えた“I'll Be Alright...”で聴かせてくれたブルーグラスガッツがメチャ凄い若手ふたり、30歳になったマット・ウィンゲート(g,m)と21歳のブライアン・マクドウェル(f,m)。最後の曲ではハンボーン(体をたたくパーカッション)とクロッグダンスステップでも存在感を聞かせてくれるマーク・シャッツ(bs)のクロウハンマーバンジョーをフィーチャーしたオールドタイムで締める、さすが40年目になる大ベテランのすばらしい作品だ。

 ■インスト最近作/お勧め作
  PATUX-247 FRANK WAKEFIELD & TAYLOR BAKER『& Friends』CD(本体\2,450-)\2,646-

アルバムのコンセプトを示すような一曲目のオリジナル“Echo Blues”でその偉大さを再認識させてくれるフランク・ウェイクフィールド(79歳)最新作は、近年のトップグループ(アーティスト)が目指す完ぺきなテクニック/サウンド志向とは対照的な、ブルーグラスが本来持つもうひとつの側面、「ヒトの弾く音の本質」を引き出すヒューマンな会話するジャムの秀逸な作品。フランクにとっては孫のような24歳のテイラー・ベイカー(弟ジェシーはバンジョー奏者として現在、トップグループのひとつデイリー&ビンセントで活躍中)や、19歳のマルチプレイヤーでここではギターを弾くブレネン・アーンストといった若者を相手に、そのゴツゴツとしたフランクの音楽魂が、フォスター“Beautiful Dreamer”や“My Old Kentucky Home”、フォーク“Red River Valley”や“Home Sweet Home”、フィドルチューン“Golden Slipper”や“Arkansas Traveler”ほか、「双頭の鷲」、「若き日のマギー」、「ビア樽ポルカ」、「赤い翼」ほか、超スタンダードなアメリカンメロディで、「音の本質」をさとすように聴かせる。決してスリルと興奮に満ちたスーパーピッキンとドッキマリのアンサンブルではないけれど、誰もが口ずさむことのできるメロディで、優しくシンプルな音の会話をするような、それでいてブルーグラスマンドリンの魂が貫かれた、幸いにバンジョーレスの、マンドリン好き=楽器好きにはたまらない秀作。インスト詳細解説参照。

  PATUX-244 NATE LEATH & Friends『Volume 2』CD(本体\2,450-)\2,646-

アメリカ音楽のもっとも原初的なアンサンブルであるフィドルチューンのグルーヴを忠実に守りながら、まったくあたらしいエネルギーを注ぎ込む若手ネイト・リースの最新作には、クリキッドスティルで知られるチェリストとして独自のフィドルチューン世界を創るルシャッド・エグルストンを全曲に配して、出会うべくして出会ったというふたり共通の世界がさらに広がっていく。

今回も天才少女オールドタイムフィドラー、タティアナ・ハーグリーヴズを16曲中9曲(うち“One Morning in May”でソロボーカル)に迎えるほか、デビッド・グリア(g)とサミー・シーラー(bj)というブルーグラス界からの強力助っ人、ナンシー・スライズのクロウハンマーが9曲、アッシュビル在住の佐竹晃とのフィドル&三味線というユニットもあるダンカン・ウィッケル(f)、ラリー・キール&ナチュラルブリッジのマーク・シミック(g,m)、アンディ・ウィリアムズ(f)、ニック・フォーク(perc)、“Wildwood Flower”を歌う16歳にしては妖し過ぎるローレン・ウォズマンド、そしてプロデューサーも兼ねるマルチプレイヤー、ダニー・ナイスリーがギターなど、多彩なミュージシャンを配している。

10代の前半から注目していたネイト・リースも30歳を過ぎた。ブルーグラスやジャズ、ニューグラスを経てオールドタイムに挑んだ前秀作『Rockville Pike』(PATUX-177 本体\2,646-)の第2作と位置づけ、トラッドフィドルを軸にオリジナルフィドルチューンやA.P.カーターの“Wildwood Flower”からベラ・フレックの“Down in the Swamp”まで、メチャ素晴らしいフィドルアルバム全16曲だ!!

  ROU-9143 TONY TRISCHKA『Great Big World』CD(本体\2,450-)\2,646-

トニー・トリシュカの最新第17作は「ブルーグラッース!」。かつての独りよがり!?は影を潜め、バランス感覚を持ったエンターテイメントだ。基本バンドには、クリス・シーリとの衝撃的デュオ作で知られるマイケル・デイビス(g)、モンローマンドリンのマイク・コンプトン(m)、14歳でジム&ジェシーでデビューし現在デドリー・ジェントルメン/デビッド・グリスマン・クインテットの凄感性マイク・バーネット(f)にスキップ・デイビス(bs)。そしてゲスト陣にはアンディ・スタットマン、ラス・バレンバーグ、ノーム・ピケルニー、クリス・エルドリッジ、スティーブ・マーティン、女性ボーカリストにイーファ・オドノバン、アビゲイル・ウォッシュバーン、ジャズ/ブルース歌手キャスリーン・ラッセル、そしてボブ・ディランやレボン・ヘルムのギタリスト、ラリー・キャンベル(g)やオールマンブラザーズのオテイル・バーブリッジ(bs)に息子ショーン(drums)とのコンボまで……、これはどんな音が詰め込まれているのか、ハラハラ期待しながら楽しむっきゃないでしょ!! ウッディ・ガスリー“Do Re Mi”、フォスター“Angelina Baker”のマイケルとイーファのデュオ、“Wild Bill Hickock”を歌うフォーク界の重鎮ランブリン・ジャック・エリオット(語りで俳優ジョン・グッドマン登場!)、モンローの海賊テープで初めて聴いたという“I Wonder Where You Are Tonight”は基本バンドの正しいブルーグラス(つまり、個性のカタマリごっこ)などなど、ホンマ聴きどころ満載の13曲。ぜったい、オモロイぞ!!

 ■オールドタイム/フォーク最近作/お勧め作
  FHR-1066 THE SOUTH CAROLINA BROADCASTERS『Can You Hear Me Now』CD(本体\2,450-)\2,646-

音楽技術以前の生身の「声」や「楽器」をストレートに表出するソロとハーモニーにアパラチアの原初的な音楽のあり方を聴くサウスカロライナ・ブロードキャスターズの2012年作品。ノースカロライナ州マウントエアリーの伝説的なラジオ局WPAQでオールドタイム番組を持つアイビー・シェパード(f)に、グレース・ケネディ(bj、現在はサラ・オズボーンに代わっている)の女性ふたりとデビッド・シェパード(g)のストリングバンドのトリオ。カーターファミリーの"Pretty Little Raindrops"を皮切りにトム・T.ホール作でドイル・ローソンやヒザー・マイルズの名唱で知られるタイトル曲、フラット&スクラッグスの"Roustabout"もロイ・エイカフと見まごうヒルビリースタイル、アイビーとグレイスの女性デュオが秀逸なデルモア"Take Away This Lonesome Day"、ハンク・ウィリアムスのゴスペル曲、"When God Dips His Love In My Heart"を配し、最後には"Mobile Blues"でブギウギなど、さまざまな南部音楽を取り上げている。その歌唱/演奏手法は、20世紀以降のラジオとレコードの商業主義に毒されていないアパラチアの原初的な音楽のあり方を聴くようだ。「ボイスオブブルーリッジ」という愛称を持つラジオ局のDJを通じてさまざまな音楽を掘っていく中で、おそらくアイビーが見つけたもっともストレートなアパラチアの感情表現なのだろう。混じり気のないエネルギーに満ちた南部音楽だ。

 ■カントリー最近作/お勧め作
  RCSI-1053 LAURA CASH『Awake But Dreaming』CD(本体\2,450-)\2,646-

ロイド・グリーン、ピート・ウェイド、ピッグ・ロビンズほか、超豪華な(ローラ曰く)トラディショナル・カントリースウィング・バンドをバックに、カントリーの中でもスタンダード並みの音楽性で一世を風靡した60年代ナッシュビル・サウンドのノウハウを使った、いまどき非常に珍しいカントリーサウンドを聴かせてくれるローラ・ウェーバー・キャッシュ。90年代中ごろ、香川県坂出のアパートに住み、今でも「最高の思い出」という瀬戸大橋の京阪フィッシャーマンズワーフに連日出演を続けたブルーグラス・バンド、テキサス・レンジャーズのメンバーとして来日、宝塚フェスにも参加したローラのクラシック・カントリー作品だ。映画『ウォーク・ザ・ライン、君につづく道』のモデルとなったジョニー・キャッシュとジューン・カーターのひとり息子、ジョン・カーター・キャッシュと2000年に結婚、カーター・ファミリーやジョニー・キャッシュ関連のアルバムにも参加している。

しかし本作では、その人脈で大物ゲストを集めたりせず、自身が尊敬するスタジオ・ミュージシャンとのセッションを大切にする音作りと、ゲストには唯一、デル・マッカーリー・バンドのジェイソン・カーターがすばらしいバリトンボイスでローラとカントリーデュオという彼女らしい控え目さがいい。ちなみにフィドル・コンテストで育ってきたローラ、ナッシュビルでのIBMA大会と同時に開かれるグランドマスター・フィドラー・チャンピオンシップで、これまでフィドル界への貢献を賞する2009年に創設されたチャーリー・ブッシュ賞(サムの父親)の第1回受賞者に選ばれ、涙涙のとてもいい授賞式だった。また丹沢ブルーグラス・サークルがバージニアを訪ねたときも、わざわざメイベル・カーターの家の解体修理を延期して見学させてくれたりするなど、いつも日本人を気にかけてくれるローラのクラシック・カントリー作品である。

  HTM-478704 STURGILL SIMPSON『High Top Mountain』CD(本体\2,450-)\2,646-

ネオ・ホンキートンクのスターギル・シンプソンのデビュー作。ピアノのハーガス・ピッグ・ロビンスやスティールのロビー・ターナーら、ナッシュビルのベテランを配して、昔の雰囲気で録音し、かつてのカントリーが持っていたラフな感じを出したかったという。ブルーグラス出身らしくラルフ・スタンレーに敬意を表して“Poor Rambler”をカバー、強烈なヒルビリーホンキートンクに仕上げている。

  TF-0006 福原照晃『Sings Great Songs of George Strait』CD(本体\2,857-)\3,086-

学生時代、同志社大学のマジカル・プレイボーイズで人気を博したのちプロの道を選ばずに就職。退職後、兵庫県の西宮にライブハウス「フォートワース」を開店、カントリーやブルーグラスバンドのライブをサポートしている。その店名ももちろん、ジョージ・ストレイトの“Does Fortworth Ever Cross Your Mind”からという……、そのお店の10周年を記念して、敬愛するジョージ・ストレイトをカバー、しかも原曲に近く20曲を完全コピーした2011年作品。録音メンバーはプロデューサー尾崎孝(pedal steel)ほか、岸本一遥(f)、古橋一晃(g)、奥沢明雄(g,v)、尾崎博(eg)、加藤実(piano)、マイク・ダン(ebs,v)、高杉登(drums)、橘頼紀(bs)、青柳まみ(v)。

ジョージ・ストレイト(1952-)は「キング・オブ・カントリー」と呼ばれる、現在のカントリー界最大のスターである。1980年代のネオトラディショナリストと呼ばれる中、カウボーイ姿に帽子、そしてポップカントリー以前のカントリーを標榜、累計7000万枚の米国アルバム売り上げで全アーティストの12位。

  RANDM-005 THE PALOMINOS『Come On In』CD(本体\2,450-)\2,646-

実に泥臭いシンプルな、これぞ1950年代リックの塊のようなテレキャスを弾くトーマス(g)とジェイムズ(bs)のズーレック兄弟に、ボーカルを受け持つランス・ホウキンズ、とシンプルこの上ないドラムスのクレイグ・パックハムの4人組によるデビュー作。こういった生々しいホンキートンク……というかベイカーズフィールドの原初的なサウンドを堂々と演じて観衆を喜ばせる……これだと思ったら一途に思いをぶつける心意気に反応するアメリカ音楽界の懐の深さだろう。見事なまでにシンプルで泥臭い、一途なカントリーだ。

 ■お勧め発掘・編集最近作/お勧め作
  ACD-81 OLD & IN THE WAY『Live at the Bording House: Complete Shows』CD4枚組(本体\5,500-)\5,940-

強烈お宝アルバム最終セット40年目に発売! バッサー・クレメンツ(f)、ジェリー・ガルシア(bj)、デビッド・グリスマン(m)、ジョン・カーン(bs)、ピーター・ローワン(g)によるオールド&イン・ザ・ウェイの1973年10月1日と8日の2日間、サンフランシスコのヒッピーのたまり場、ボーディングハウスでのライブ全55曲(未発表14テイクを含む)が完全に収録された決定盤。1975年、最初のLP発売時には全米総合アルバムチャート99位をヒット、そののちも2001年に700万枚を売った『オーブラザー』のサントラに抜かれるまで、デッドヘッズ(ヒッピーやヤッピー)たちを中心に売れつづけ、ブルーグラス/ニューグラスのもっとも売れたアルバム(現在廃盤)といわれた10月8日の10曲も、当然すべて含まれている。演奏もさることながら、その時代と存在自体がブルーグラス史上に大きな意味持つ、今や本質的なトラッドグラスバンドである。おっと、われらが小森谷巨匠の写真が素晴らしい!!

  RW-0001 NEW KENTUCKY COLONELS『Live in Holland 1973』CD(本体\2,450-)\2,646-

1973年夏、クラレンス・ホワイトが事故で亡くなる2ヶ月前、兄のエリックとローランド、そしてハーブ・ピーダセンとともにオランダをツアー。本作は、そのときに彼らのブルーグラス魂を爆発させた、2013年夏にローランド・ホワイトが初めて発表した未発表ライブである。クラレンスの生ギターが縦横に駆け巡り、そのリズム/ビートに引っ張られるようにローランドのマンドリンとハーブのバンジョー、そしてエリックのすばらしいスラップベース。全員がブルーグラスをすることに集中していくさまが手に取るように感じられる貴重な録音である。

 ■映像ものお勧め作
  ROU-8846 STEVE MARTIN & the STEEP CANYON RANGERS, featuring EDIE BRICKELL『Live』CD+DVD(本体\3,500-)\3,780-

昨秋、IBMA週間最終日の大トリ、ノースカロライナ州都ローリーの野外劇場……、わたしもそこにいました。ハッキリ言って高をくくってました。超セレブの大スターでクロウハンマーバンジョーの名手、スリーフィンガーも上手いスティーブ・マーティンだけど、ディープなブルーグラスとは少し違うんだ、って。ノースカロライナの若手スティープ・キャニオンはとてもいいブルーグラスバンドだからオンブにダッコだろう……などと。ところがところが、そのステージが凄い!

米国最大のエンターテイメント、アカデミー授賞式の司会を三度も務めた大スターであるスティーブと、1988年のデビューアルバムがヒットしたシンガーソングライターで、そのときポール・サイモンが一目惚れして結婚したイーディ・ブリッケルがコンビを組んだ昨夏のCDアルバム『Love Has Come for You』(ROU-9150 \2,646-)が大ヒット。そんなふたりとノースカロライナの活きのいいブルーグラスバンド、スティープキャニオンレンジャーズが徹底的に観客を楽しませ、喜ばせる! 米国芸能界セレブふたりが圧倒的な説得力でブルーグラスする功績は計り知れないが、それ以上に、実際にステージを観ていて、こんな楽しいブルーグラスショウを楽しんだのは初めてだった。皆さんもぜひ、……19曲入りのCDと22曲入りのDVD2枚組、お楽しみください!!

  BYGF-9122 V.A.『Herschel Sizemore: Mandolin in B, A Tribute to a Bluegrass Legend』DVD55分(本体\2,750- )\2,970-

1979年、デル・マッカーリー初来日時のメンバーでの演奏とインタビューではじまる本編、ハーシャル・サイズモアという、ブルーリッジ地方のマンドリン界で圧倒的な影響力と支持を受けるミュージシャンズ・ミュージシャン。近年は「Key of B」のマンドリン名曲にしてジャムスタンダード“Rebecca”の作者として知られる彼が、夫婦揃ってガン宣告を受けたため2012年2月19日、仲間や彼を慕う若者たちが集まって開かれたベネフィットコンサートの模様と、彼の経歴や人となり、すなわちそのスムースさとトーンを紹介するビデオ。デル・マッカーリーやセルダム・シーン、ブッチ・ロビンスとジョン・ロウレス、サミー・シーラーと旧ジョンソン・マウンテン・ボーイズなど、9セッションによる演奏9曲と、パンチブラザーズとしてコンサートに出演していたクリス・シーリーをはじめ、デビッド・グリスマン、J.D.クロウやドイル・ローソンらのインタビュー(字幕なし)で構成された感動DVD。DVDの売り上げはハーシャル・サイズモア名義でブルーグラス・トラストファンド(IBMAが創設した互助基金)に寄付される。映像モノ詳細説明参照。

  SOTM-2011 V.A.『Song of the Mountain: Season 6』DVD映像集(本体\2,750-)\2,970-

Joe Mulllins & Radio Ramblers“Katy Daley”/Redhead Express“Maple Sugar Daddy”/Likewise“Hard Ryde”/James Leva & Purgatory Mountain“Old Joe Clark”/Doc Watson & Jeff Little“Whiskey Before Breakfast”/Michael Reno Harrell“Greyhound Station”/Donna Ulisse“Caney Creek To Cannan Land”/North Sea Gas“Bonnie Lass O'Fyvie”/Snyder Family“Bill Cheatham”/Chuck Wagon Gang“Beautiful Life”/Primitive Quartet“Didn't He Shine”/VW Boys“Rooster Song”/Grascals“Sally Goodin”. 全15曲

2005年からはじまった米国公共放送PBSのローカル番組「シーズン1」(SOTM-2008 DVD\2,970-)が高い評価を得て、次第に全米に配信され、第2シーズンが終わるころには全米163のTV局で放映されるまでになっていたという、バージニア州マリオンの歴史的なリンカーン劇場500席を舞台に、5バンド前後のブルーグラス/オールドタイムバンドを集めて繰り広げられる地元のシニア層を対象にしたコンサート。VWボーイズというコミックバンドを率いるティム・ホワイトが、あくまでも南部アパラチア・ローカルの雰囲気を壊さずに積み上げてきたTV番組の2011年収録の「シーズン6」からのベスト映像集。ジョー・マリンズとレディオランブラーズをはじめ、グラスカルズやドナ・ユリッシー、話題のフラットピッカー、ゼブのいるスナイダーファミリーやオールドタイムのジェイムズ・リーバ、さらにはドック・ワトソンまでもが登場する。ブルーリッジ地方のフツーの音楽と、それを楽しみミュージシャンたちを勇気づけるフツーの観衆たちの日常が体験できるライブ映像集。

  KMA-0011D LOU REID & CAROLINA 『20th Anniversary Concert: Live at the Down Home』DVD(本体\3,500-)\3,780-

ルー・リード&カロライナが20周年を記念して昨年発表したライブCDのDVD映像盤。セルダムシーンでは62歳という若さで早世したジョン・ダッフィ(1934-1996)のパートを完ぺきにこなすルー・リード。シーンと並行して活躍する彼自身のバンド。キーof“B”のブルーグラス賛歌“Grass Lover”ではじまり、アカペラゴスペルからスタンレー、そして長いルーのキャリアで知られるヒット曲など、ゲストに当時リッキー・スキャッグス・バンドのバンジョー奏者であったジャスティン・モーゼズのすばらしいフィドルを迎え、いわゆるブルーリッジ系の軽快/快調な、標準5人編成ブルーグラスのライブ。

  SHA-622D V.A.『You Are There - Classic Early Films of Legendary Performers 1952-1954』DVD(本体\3,150-)\3,402-

1950年代中頃、なんと35mmカラーフィルムに収められたビル・モンローとブルー・グラス・ボーイズ!(ジャッキー・フェルプスg、チャーリー・クラインbj、アーニー・ニュートンbs、そしてトリプルフィドルにレッド・テイラーとゴードン・テリーとボビー・ヒックス) このDVDは明らかにこの貴重なビル・モンローの映像6曲(ニコリともしない強面モンロー)、そしてハンク・ウィリアムスで現存するたった4曲の白黒フィルムを収めることを目標に作られた作品! ほかに、スマートで溌剌としたベニー・マーティンの素晴らしい切れのフィドルが堪能できる“Me and My Fiddle”、そしてアイラとチャーリーのルービン・ブラザーズが2曲“I Don't Believe You've Met My Baby”、“Love Thy Neighnor”、グランパ・ジョーンズが奥さんのラモナと登場して5曲、あと、サム&カーク・マギー、ストリングビーン、ロンゾ&オスカーなど、意図的に当時流行のホンキートンク人気シンガーを加えずにオールドタイムの伝統に則したアーティストばかりを集めている。「アナタはそこにいた!」……60年前、ブルーグラスもカントリーも、ロックという世界規模の商業主義に見舞われる直前、まだ音楽がかろうじてラフなまま生きていた時代の超貴重なお宝必見ビデオ。

ビル・モンローは前述のメンバーでDVDのオープニング“Close By”、テリーとヒックスのツィンフィドルとなり“You'll Finf Her Name Wreitten There”、そして画面に現れないがおそらくクラインがフィドルに持ち替えテリーとツィン、そしてボビー・ヒックスが素晴らしいバンジョー!を聴かせる“Little Georgia Rose”、モンロー、フェルプス、クラインのトリオで“A Voice from On High”、チャーリー・クラインがボビーとツィンフィドル、ジャッキー・フェルプスがなんと!ツーフィンガーで超高速バンジョー間奏を聴かせる“Roanoke”(ギタリスト不明)、そして“Swing Low Sweet Chariot”の6曲。1960年代以降、洗練されて行くテクニックとは裏腹に失われて行ったミュージシャンの個性が、この1950年代には縦横無尽に有効利用されている。ベーシストのドラムス不要のインパクトも凄い。2度と戻れない(再現すらできないだろう)あの世界、「アナタはそこにいた!」んだ。強力お勧めDVD!!

 楽器関連作品
 (楽器奏法や教則など、さまざまなご相談に関してはミュージシャン歴豊富なスタッフがアドバイス、また楽器につきましても、本体やパーツ/アクセサリーなど、ビンテージを含めて各種取り扱っています。お気軽にお問い合わせください)
 ■ギター
  GT-0665 DON RENO『Golden Guitar』CD(本体CD\1,200-)\1,296-

Grey Eagle/Polka on the Guitar/Turkey in the Straw/Dixie Medley/I Like Mountain Music 他全15曲

お蔵入りしていたドン・レノ(1927-1984)、1972年録音のギターインスト・アルバムが1999年にCD化、さらに廉価版として再々登場、ブルーグラス・フラットピッキンのお手本作品である。ドック・ワトソン登場以前からバリバリのフラットピッキンを聴かせていたドン・レノ、13歳でアーサー「ギター・ブギ」スミスのバンドに入ったキャリアから当時のポップ音楽にも精通した音楽観は彼のメイン楽器であるバンジョーにも遺憾なく発揮されているのはご承知の通り。スクラッグス同様、彼らの育ったカロライナのピードモント地方は、けっこうな音楽先進地だったのだろう。

 ■バンジョー
  GT7-2151 ALLEN SHELTON『At His Best, Bending the Strings and Other Great Instrumentals』CD(本体\1,300-)\1,404-

2009年11月21日に亡くなった偉大なバンジョー奏者、アレン・シェルトンを悼んで2010年に発表されたスターデイお宝録音10曲集。もちろん、あのチューナー多様の大名曲"Bending the Strings"をはじめ、2曲のジム・イーンズでの初期録音を除いてジム&ジェシーとの70年代のアテイラム録音をメインにした名録音集。ドブロ・バンジョー曲が4曲含まれる10曲だが、端正なスクラッグス・スタイルのスリーフィンガーにドン・レノ的な選曲/メロディセンスを加味、ブルーグラス・バンジョー史に名を残す偉大なアレン・シェルトンのノウハウが楽しめる。ムーンシャイナー2010年2月号に追悼特集「シェルトンのヒ・ミ・ツ」、同年3月号に典型的なシェルトン・ロールをタブ譜などで紹介した「シェルトン美学」などの特集もご参照ください。

 ■マンドリン
  REB-1778 DOYLE LAWSON『Tennessee Dream』CD(本体\2,450-)\2,646-

2012年、ブルーグラス界最高の名誉であるIBMA名誉の殿堂入りしたドイル・ローソン、その名が初めて冠せられた記念すべきソロデビュー盤で1977年のマンドリン・インスト名盤(2002年にCD化)。40数年前、1972年1月に初来日したカントリー・ジェントルメン。そこで日本のブルーグラス・ファンは初めて、16分音符で連なるスリリングなマンドリン奏法に接して目を丸くした! そう、1968年のフラット&スクラッグスも1971年のラルフ・スタンレーも連れて来なかった、アメリカ第一線の初めてのマンドリン奏者がドイル・ローソンだったのだ。その衝撃たるや(当時日本のマンドリン奏者の数は少なかったものの)、ともに1976年来日のサム・ブッシュやデビッド・グリスマンどころではなかったろう。最近ではバンドリーダーとして有名になり、マンドリン奏者として語られることは少なくなったが、37年前の本作、今聴いても全然古臭くない。ケニー・ベイカー(f)とJ.D.クロウ(bj)という超人たちに若気のジェリー・ダグラス(d)、ボビー・スローン(bs)が9曲のドイル作品ほか、「ビル・モンロー・メドレー」、「ラバーズ・コンチェルト」や「サニー」などのポップも楽しませてくれる。ケニーがいいなぁ!!

  GT-5161 V.A.『Nashville Mandolins, Play Their 100 Best』CD4枚組(本体\2,450-)\2,646-

なんと! CD4枚組全100曲のアメリカン・スタンダード曲のマンドリン・インスト集。かつて、4枚別々に売り出されたものが4枚組セット廉価盤で登場。バックはソフトタッチなナッシュビル・アコースティック・サウンドで、ミュージシャンのクレジットはないが、手慣れた一級のバックアップは間違いない。またマンドリンはおそらく故ブッチ・バルダサリと思われ、シンプルなメロディにチョッとしたスラーやメロディの選び方に非凡なタッチとトーンを聴かせる。BGMとしても楽しめるし、楽器を弾く人にはスタンダード曲のメロディを知る絶好の参考音源だろう。

 ■フィドル
  CO-3526 FIDDLIN' ARTHUR SMITH & HIS DIXIELINERS CD(本体\2,450-)\2,646-

ブルーグラスフィドルの創始者とわたしが考えるジム・シューメイト。そのジムが説くブルーグラスフィドルの素、シビアなフィドル奏者必聴、ナッシュビル・フィドルの基礎を創った偉大なフィドラー、アーサー・スミス、1937年から40年の録音。バックアップはビル・モンローのブルー・グラス・ボーイズ(ビルはいない)やデルモア・ブラザーズら。

 ■ドブロ
  RC-121 JOSH GRAVES『Just Joshin'』CD(本体\2,450-)\2,646-

ブルーグラス・ドブロ奏者必携/必聴/必写の「これ1枚!」。1963年に発表されたジョッシュ・グレイブス(1927-2006)、フラット&スクラッグス時代の唯一のベース奏者ジェイク・ターロック(1922-1988)とのデュオ・アルバムが3曲の未発表インスト録音を含めて、わがレッド・クレイ・レコードから初CD化。バックにはカーティス・マクピーク(bj)、チャビー・ワイズ(f)、ハワード・ワッツ(bs)ら。ジョッシュのリードにジェイクのテナーのデュオ・ボーカル物と"Dobro Rhumba"や"Just Joshin'"など6曲のドブロ・インスト(すべてがブルーグラスドブロのスタンダードだぞ!!)で構成された超貴重な全15曲。

 ■オートハープ
  WP-128 HARVEY REID『Autoharp Waltz』CD(本体2,450-)\2,646-

1954年カリフォルニア生まれのハービー・リードの最新オートハープ16曲集。1976年にインディアナ州ビーンブロッサムのビル・モンローフェスでブルーグラス・ギターコンテストに優勝したのち、1981年にはカンザス州ウィンフィールドの全米フィンガーピッキンコンテストで優勝、翌82年にはオートハープ部門で優勝している。1982年に自身のウッドペッカーレコードを立ち上げ最初のアルバムを発表して以来、ソロギターがメインだが、ミンストレル音楽や6弦バンジョーアルバムなど、本作で29枚目のアルバムになるというマイペースな、しかしそれだけステディなファンを持つ多彩なミュージシャン。そんなバーサタイルな才能と感覚を持ったゲイリーの2枚目となるオートハープ集、トラッドからカーターファミリーなど、ホッとする選曲とともに、期待を裏切らない仕上がりである。

 (B.O.M.スタッフは全員、各楽器にも精通したバリバリ!?ピッカーです。どんなことでもお気軽にお問い合わせください)
 楽器、その他........
 [アメリカのブルーグラス・シーンでも圧倒的なシェアを誇るアルパイン・ボールダー・ギグバッグ・ドブロ用取扱い開始!!]

CB-362 『ドブロ用ケース』 (本体\7,000-)\7,560-

CB-320 『Fマンドリン用ケース』 (本体\6,500-)\7,020-

CB-360 『ドレッドギター用ケース』 (本体\7,000-)\7,560-

CB-367 『オープンバックバンジョー用ケース 』 (本体\7,000-)\7,560-

CB-369 『バンジョー用ケース』 (本体\7,000-)\7,560-

ドブロ・プレイヤーに朗報です。Boulder Alpine バッグ、リゾネーターギター(ドブロ)用も取扱いを始めました。

今年もフェスシーズンをむかえ、アウトドア、インドアを問わず、愛器の持ち運びをサポートしてくれる最適のバッグの取扱を開始しました。

約10mm厚のパッドが取り付けられたアウトドア対応を考えたバッグです。背負った時のバランスを考えて設計されているのも特徴。沢山のポケット付きですので小物の収納に便利です。カラーもそれぞれに3色(BL青、GNグリーン、TAN薄茶)揃えております。

弦、ピックなど

http://www.bomserv.com/inst/strings1.htm

楽器アクセサリーなど

http://www.bomserv.com/inst/accessories.htm

 輸入雑誌
 ■フラットピッキン・ギター誌
 隔月刊の掲載全タブ譜対応CD付きフラットピッキン・ギター誌。ブルーグラスからスウィング/ジャズまで。一冊でさまざまな奏法が学べる。
  FGM-18.4 最新「2014年5〜6月号」CD付き70頁Tab-Book(本体\2,500-)\2,700-

Cheat Mountain, Ebeneezer & Johnny Don't Get Drunk/Chinquipin Hunting/Cottage Hill/Durang's Hornpipe/Elzic’s Farewell/Falls of Richmond/Indian Corn/Jaybird /Little Billy Wilson/Mississippi Sawyer/New Five Cents/Kentucky Lake/Old Grey Mare/Rock The Cradle Joe/Sail Away Ladies/Sally In The Garden/Sally Johnson/Shove The Pig's Foot/Squirrel Hunters/Ways of the World.

以上20曲、ありきたりのフィドルチューンではなく、チョッとシビアでクロートっぽいオールドタイムチューンの数々をレパートリーにしてみませんか? 最新号はまるごと一冊、「オールドタイムチューン」号です。挑戦のし甲斐がありますよ!

  FGM-18.3 「2014年3〜4月号」CD付き70頁Tab-Book(本体\2,500-)\2,700-

Dooley/Bitter Creek/Pupville/Constitution March/Golden Slippers/Beautiful Brown Eyes/Neenah/Neal Gow’s Lamentation/Toy Heart.

ザ・ディラーズのロドニー・ディラードをカバーストーリーに、ビッグ・スミスのギタリストやデビッド・マラビラら、ダダリオの「NSアーティストカポ」紹介などの特集に上記、各コラム(初心者から上級者までさまざまな切り口で)で取り上げた曲のタブ譜とCD音源。

  FGM-18.2 「2014年1〜2月号」CD付き70頁Tab-Book(本体\2,500-)\2,700-

Pretty Bird/Little Girl of Mine in Tennessee/San Antonio Rose/Pupville/John Hardy/Little Annie/Stetson’s #2/Long Journey Home/Sand Coulee Reel/Soppin’ The Gravy/Cotton Patch Rag/We Live In Two Different Worlds.

ギリアン・ウェルチの相方で、アグレッシブなダウンピッキンで知られるデビッド・ロウリングスのカバーストーリーほか、マウンテンハートのセス・テイラー、アラン・ジャクソン・バンドのスコット・コニー、そして楽器ルシアーのケン・フーパーらの特集。それに上記、それぞれに初心者やコード分解、ナッシュビルスタイルなど各コラムに応じたタブ譜集。

  FGM-18.1 「2013年11〜12月号」CD付き70頁Tab-Book(本体\2,500-)\2,700-

スウィング集。品切れ、取り寄せ可。

  FGM-17.6 「2013年9〜10月号」CD付き70頁Tab-Book(本体\2,500-)\2,700-

Amazing Grace/Munde's Child/Crying Holy/Old Gospel Ship/Precious Lord/Never Give the Devil a Ride/Gathering Flowers from the Hillside/You Are My Sunshine/Swing Low, Sweet Chariot/Old Time Religion/Gnarly/Cottonwood Reel/Done Gone/Salty Dog Blues ほか。

レターでも紹介したギターアルバム『Grace Notes』を発表したカール・ジャクソンをカバーストーリーに“Amazing Grace”のタブ譜ほか、エリオット・ロジャーズ、ジョン・バクゼンデールのコロラドギターカンパニー訪問、CDハイライトはアンドリュー・リグニー、新製品紹介などの記事のほか、とにかくタブ譜満載の70頁。

以上のほか、現在の在庫は2013年1-2月号、2012年11-12月号、2012年5-6月号、2011年7-8月号、2011年5-6月号、2010年3-4月号、2010年1-2月号、2009年11-12月号、2009年7-8月号、2008年3-4月号、2007年1-2月号、2006年7-8月号のみです。(品切れ号、取り寄せ可)

 ■バンジョー・ニューズレター誌
 世界唯一のバンジョー専門月刊誌。毎号タブ譜満載(ウェブサイトから「MP3」で音源入手可!!)、バックナンバーもお問い合せ下さい。探しておられるタブ譜の曲名や演奏スタイル、またお気に入り奏者の特集も探します。収蔵曲のCDやDVDなども在庫していますので、お問い合わせください。
  BNL-14/04 最新2014年4月号 \648-

ブルーグラス史家、ニール・ローゼンバーグ博士のカバーストーリー。タブ譜は、トム・アダムズのアレンジするTVドラマシリーズ『フレンズ』のテーマ曲“I'll Be There for You”、フレッド・ゲイガーはダロル・アンガー『Fiddlistics』から“Dysentery Stomp”、ジャネット・デイビスによるビル・モンローの“Lonesome Moonlight Waltz”のリードとバックアップ、イアン・ペリーのフィンガーボード探検には“Alabama Jubilee”などのほか、クロウハンマーのタブ譜を含むバンジョー情報満載の32頁。

  BNL-14/03 2014年3月号 \648-

今年1月27日、94歳で亡くなったピート・シーガー追悼特集号。タブ譜はトム・アダムズ「オペラ座の怪人」より“Music of the Night”、アール・スクラッグスは極めて珍しい“Bill Cheatham”のリード!(1992年、ジョン・ハートフォードが録音に成功した貴重な一瞬だったという!!)、ケルト系有名曲“Drowsy Maggie”、先月号からつづくベラ・フレック・インタビューAとオリジナルのクラシック“Movement 2: Hunter's Moon”、トニー・トリシュカ採譜のピート・シーガー“Quite Early Morning”などのほか、クロウハンマーのタブ譜を含むバンジョー情報満載の40頁。

  BNL-14/02 2014年2月号 \648-

ベラ・フレックのカバーストーリーは、初のクラシック作品『The Impostor』(本体\2,650-)への取り組みとノウハウなどインタビューのPart 1と、タブ譜は同アルバムからナッシュビル・シンフォニーとの第一楽章“Infiltration”ほか、タブ譜はビル・エマーソンのカントリージェントルメン時代の名演“Teach Your Children”、トム・アダムズ“Wagon Wheel”、アール・スクラッグスは珍しいレイ・プライスとのセッションから“I Can't Go Home Like This”、フィンガーボード探検“Man of Constant Sorrow”、初心者“Red River Valley”ほかクロウハンマーのタブ譜も充実、バンジョー情報満載の40頁。

  BNL-14/01 2014年1月号 \648-

1960年代から活躍する大ベテラン、トム・ニールのカバーストーリー(トム・アダムズの愛情たっぷりインタビュー)と“Tyler's Tune”(昨年発表のアルバム『Banjoland』\2,573-より)ほか、アール・スクラッグスは“Four Walls Around Me”、ピーター・ワーニック"Nellie Kane"など、バンジョーに関するさまざまな情報が満載。

 ■ブルーグラス・アンリミテッド誌
 米国最大のブルーグラス月刊専門誌。お探しの記事などバックナンバーもお問い合わせください。
  BU-14/05 最新2014年5月号 \864-

デビッド・グリスマンのカバーストーリーほか、ブライアン・サットン、ジョン・マキュエン、アイリーン・ケリーの特集記事と各種コラムのほか、米国ブルーグラス情報満載の76頁。

  BU-14/04 2014年4月号 \864-

デル・マッカーリーのカバーストーリーほか、ロスト&ファウンドの故デンプシー・ヤング、ミシェル・ニクソン&ドライブ、マーク・シャッツ、昨秋IBMA特別功労賞を受けたマクレイン・ファミリー・バンドなどの特集記事と各種コラムのほか、米国ブルーグラス情報満載の68頁。

  BU-14/03 2014年3月号 \864-

毎年恒例の3月号楽器特集は1841-1842年、C.F.マーティン・シニア作のマーティン&ク―パ・ギターを表紙に、マーティン「アメリカギター改革」ほか、ブライアン・サットンとコートニー・ハートマンのエンドースで知られるボージョワーギターズ、クラブトンのオーダーで有名になったウェイン・ヘンダーソン、バンジョーリム製作家ジム・レイ(Rae)、マンドリン製作のマイク・アンデス(ナッシングファンシーのマンド奏者)の特集記事と各種コラムのほか、米国ブルーグラス情報満載の72頁。

  BU-14/02 2014年2月号 \864-

カントリー業界ともつながりを持った兄妹ザ・ロイズと、マーク・ニュートンとスティーブ・トーマスの新コンビをカバーストーリーに、トニー・ライスの叔父にあたるドブロ奏者フランク・ポインデクスターほかの特集記事と各種コラムのほか、米国ブルーグラス情報満載の54頁。

  BU-14/01 2014年1月号 \864-

マールフェス特集(表紙写真はムーンシャイナー6月号表2と一緒だったぞ!!)のほか、毎週一度のナッシュビル郊外ラブレスカフェからのライブ公開放送「ミュージックシティルーツ」、バージニアのインドアフェス「キャビンフィーバーピッキンパーティ」、ペンシルベニアの「ブルーグラス・オンザ・グラス」主宰者デイビス・トレーシーらの特集記事と各種コラムのほか、米国ブルーグラス情報満載の100頁。

 ■オールドタイム・ヘラルド誌
 内容の濃いアメリカンルーツ/オールドタイム音楽専門誌。アメリカ伝統音楽研究に必読の良書!!バックナンバーが揃っています。お問い合わせください。
  OTH-1308 最新第13巻8号 \1,260-

ブルーグラス女王と呼ばれる「ロンダ・ビンセント:ミズーリのオールドタイムとブルーグラスのクロスロード」をメイン特集に、若いストリングバンド(ベースの代わりにチューバ)のドランケン・キャットフィッシュ・ランブラーズや今年のフェスやキャンプ一覧ガイドなど、アメリカンルーツ音楽情報満載の52頁。

  OTH-1307 第13巻7号 \1,260-

19世紀初頭以来のモンタナのフィドル伝統特集のほか、ノースカロライナのフィドラー、ハワード・ジョインズ(1908-1981)、ウォルト・コーケンのハイウッズ・ストリングバンド物語連載「Tales from the Woods Vol.6」はニューヨーク州の学生街イサカにて、ポール・ウェルズの屋根裏写真コレクションは「ハウのバイオリン教室」など、アメリカンルーツ音楽情報満載の52頁。

  OTH-1306 第13巻6号 \1,260-

1927年のビクターレコード主宰のブリストル・セッションの翌1928年、ブリストルからわずか25マイルのジョンソンシティでコロムビアが行ったセッションの特集ほか、1970年代にホットマッドファミリーで活躍したバンジョー奏者リック・グッド、ウォルト・コーケンのハイウッズ・ストリングバンド物語連載「Tales from the Woods Vol.6」はトミー・ジャレル訪問、ポール・ウェルズの屋根裏写真コレクション古いフィドラーの写真から見るフィドルの持ち方考察など、アメリカンルーツ音楽情報満載の52頁。

  OTH-1305 第13巻5号 \1,260-

インディアナ州セイラム出身で1930年に8曲、フィドルとバンジョー、ハーモニカ、ジョーズハープ、ジャグなどの楽器を使って録音を残したニコルソンズ・プレイヤーズ。これまで謎だった彼らのことを調べたトニー・ラッセルの力作ほか、ウォルト・コーケンのハイウッズ・ストリングバンド物語連載「Tales from the Woods Vol.5」はノースカロライナ州チャペルヒルでのファジーマウンテントの出会い、ポール・ウェルズの屋根裏写真コレクションは「フィドルとフルート」バンド集、など、アメリカンルーツ音楽情報満載の52頁。

  OTH-1304 第13巻4号 \1,260-

ビル・モンローの"Footprints In The Snow"の原曲を辿っていく興味深い物語のほか、ケンタッキーの伝承音楽やフィドル音楽を蒐集する中心的な役割を担った1946年生まれのジョン・ハーロッドのすばらしいインタビュー、ウォルト・コーケンのハイウッズ・ストリングバンド物語連載「Tales from the Woods Vol.4」は首都ワシントンDCのスミソニアンフェス、ポール・ウェルズの屋根裏写真コレクションは「チェロ」など、アメリカンルーツ音楽情報満載の52頁。

  OTH-1303 第13巻3号 \1,260-

アルバート・ハッシュ・メモリアル・フェスのリポート、ミズーリ・フィドラーのR.P.クリステンソン、ウォルト・コーケンの連載「Tales from the Woods Vol.3」など、オールドタイム/アメリカンルーツ音楽情報満載の52頁。

  OTH-1302 第13巻2号 \1,260-

全米フェス&キャンプガイド特集のほか、西アフリカ・ガンビア共和国ジョラ族のアコンティング奏者ラエモウアヒュマ・ジャッタのインタビュー、ウォルト・コーケンの「ハイウッド・ストリングバンドからの逸話A」は「ショッティーシュ(ボヘミア起源のダンス)」など、オールドタイム/アメリカンルーツ音楽情報満載の52頁。

  OTH-1301 第13巻1号 \1,260-

ダン・マーゴリーズ「ハンドメイド弦〜猫と馬の尻尾から生まれる音楽」をメイン特集に、アート・ローゼンバウム「北部ジョージアでの1日」、ウォルト・コーケン「ハイウッド・ストリングバンドからの逸話」シリーズ第1回など、オールドタイム/アメリカンルーツ音楽情報満載の52頁。

 月刊『ムーンシャイナー』
 1983年11月の創刊以来、毎月発行を続ける日本唯一のブルーグラス月刊専門誌、31年目です。
■定期購読:1年¥6,300-半年¥3,450-

お申込はお葉書やお電話、ファックスやメールでご希望の購読開始月をお知らせ下さい。バックナンバーも含めて、いつからでもご自由です。

■バックナンバー:各¥540-

下記以外にも、アーティストや知りたい事をお知らせ下さい。掲載号を探してお送りします。

  MS-3107 最新2014年5月号(通巻367号)\540-

ノーム・ピケルニーのブルーグラスコミュニティーへの愛と21世紀のブルーグラスについて語る「IBMA演説」前編をカバーストーリーに、ハンバートハンバート「佐藤良成インタビュー」、レオナ2ndCD「Love and Peace」、アーニャ・ヒンクル日本ブルーグラス紀行「関西編」、2014年度新入生歓迎特集号A「フォークミュージック入門」、フォギーマウンテンフィドル列伝C“We'll Meet Again Sweetheart”、草の根ブルーグラス広島しまなみ「追悼・続木敬修」、北海道大学「川口浩平」などの特集ほか、日米ブルーグラス情報満載の40頁!!

  MS-3106 2014年4月号(通巻366号)\540-

北大トリオのアメリカ冬フェス体験記「ウィンターグラス」のほか、2014年度新入生歓迎特集号「ブルーグラス入門」、J.P.マティス「日本ブルーグラスと人生最良の一週間」、大野真「大学4年どっぷりブルーグラス」、名古屋大学「小杉大智」など若者特集ほか、新岡雅巳「音の暴力復活!」、西宮フォートワースジャンボリーへのお誘い、乙女バンジョー「続アビゲイル・ウォッシュバーン」、丹沢サークル・ケンタッキー制覇ツアーリポートCなど、日米ブルーグラス情報満載の40頁!!

  MS-3105 2014年3月号(通巻365号)\540-

アール・スクラッグス・センターを表紙にセンター開館リポート、アールの育った家訪問記、ブルーグラス映画3月22日封切り!『オーバー・ザ・ブルースカイ』のブルーグラス関連セリフ紹介とインタビューなど特集、2013年発売レコード総括、J-ポップシンガー、バンジョーアイ(Banjo Ai)デビューと沖縄ブルーグラス、ジム・シューメイトとビル・モンローとアール・スクラッグスの出会い証言からフォギーマウンテンボーイズ結成へ、札幌ブルーグラス物語り#6「最終回」、丹沢サークル・ケンタッキー制覇ツアーリポートB、「KFC発祥の地とメランジオンの里」、洗足学園音楽大学「山田拓斗」ほか、日米ブルーグラス情報満載の40頁!!

  MS-3104 2014年2月号(通巻364号)\540-

関東の重鎮バンド、ブルーサイド・オブ・ロンサム「in Oklahoma」のカバーストーリーほか、ノースカロライナってどんなとこ?「アール・スクラッグス生家訪問」、ジム・シューメイトとビル・モンローとアール・スクラッグスの出会い証言集、浪花米国南部系ルーツ音楽祭リポート、札幌ブルーグラス物語り#5「ニューグラスリバイバル来日」、ジュニア・シスクとジョー・マリンズの元ネタ集、丹沢サークル「ケンタッキー制覇ツアーリポート」A、日本ブルーグラス年表#72「1978-1979年」、大谷大学「名取綺更」ほか、日米ブルーグラス情報満載の40頁!!

  MS-3103 2014年1月号(通巻363号)\540-

ジム・シューメイトとポール・ウォーレンに捧ぐ「フォギーマウンテンフィドル列伝」前編、アーニャ・ヒンクル日本紀行「ブルーグラスアクシデント北海道編」、佐藤コウスケ「ゴローショーとエンタメ」、丹沢サークル「ケンタッキー制覇ツアー@」、知っておきたい#6「ブルーグラス・スウィング」、馬渡 浩の札幌ブルーグラス物語りB、「ノースカロライナってどんなとこ?A」、ブルーグラス史観米国史#44「セシル・シャープとオリーブ・キャンベル」、洗足学園音楽大学「岩本歓喜」ほか、日米ブルーグラス情報満載の40頁!!

  MS-3102 2013年12月号(通巻362号)\540-

IBMA(WoB)2013リポート「ノースカロライナってどんなとこ?」、女子大生の見た「ワイドオープン・ブルーグラス」、タヒチクラブ「新春★浪花 米国南部系ルーツ音楽祭」、愛媛・朝倉ブルーグラスの25年、馬渡 浩の札幌ブルーグラス物語りA、知っておきたい...#5 「フラットピッカー達」、日本ブルーグラス年表#70「1978年」、3大学対抗!年忘れライブ酪農学園大学「花村彩音」ほか、日米ブルーグラス情報満載の40頁!!

  MS-3101 2013年11月号(通巻361号)\540-

31年目の第1号、IBMA名誉の殿堂入りのセレモニーで「奇跡」を起こしたトニー・ライスのスピーチほか、第24回IBMAアワードショウ・リポート、マイク・コンプトン「ビル・モンローの魂」12月来日、ブルーグラス☆ポリスのデビューCD『BG★PC』、馬渡浩の札幌ブルーグラス物語り@、やぎたこ『I'll be home someday』、きたむらいづみ「彦根にアメリカーナ」、ハゥトゥプレイブルーグラス!その伍ほか、日米ブルーグラス情報満載の40頁!!

  MS-3012 2013年10月号(通巻360号)\540-

やりました!通巻360号、購読してくれる皆さん、ボランティアで情報や記事、写真を提供してくれる皆さん、そんなダイハードなブルーグラスファンの皆さんのお陰で30年間、何とか持ちこたえました。これからいつまで頑張れるか、体力と根気の勝負ですかね、こうなると? ひきつづき皆さんのお引き立てを、何卒よろしくお願い致します。本当に、ありがとうございます!!

記念すべき360号は、日本でデビューして、最年少でIBMA名誉の殿堂入りをしたトニー・ライス秘話のほか、1958年に結成されたイースト・マウンテン・ボーイズがIBMA特別功労賞を受賞するにあたって彼らの年表と紹介、そして日本の戦前・戦後における「洋楽」の受容についての特集記事、中学生ソフィア美玲キャタリナの「ウィザー・フィドル・コンテスト」参戦記、ハゥトゥプレイ・ブルーグラス#4「続アールの日」、最新トラッドグラス事情「レベル・レコード編」、コンサートリポート「mareka & Junji vs 三津谷組」、カーター・ファミリーとボブ・ディラン、東北大「荒川善行」、ネッシーエクスペディション37年目の渡米顛末記Dほか、日米ブルーグラス情報満載!!

  MS-3011 2013年9月号(通巻359号)\540-

フラットピッキンギターに魅せられた女性レベッカ・フレージャー、その初々しい半生を紹介したカバーストーリーのほか、クレイグ・ダンカン、ビリー・スミス、マイク・スコットらが女性陣ふたりを加え10月はじめに来日。同じ10月、ハンマーダルシマを初めて日本に紹介したカレン・アッシュブルックが来日するのを機に、「ハンマーダルシマ」の歴史と今特集。9月28日に「第4回六甲ブルーグラス・タイムズ」を主催する神戸大学の木村周平。「ハゥトゥープレイブルーグラス」シリーズ3回目になる最新号では、「シラブルで弾く」こととは? CD+DVDを発表した原さとし(bj)と竹内信次(m)のトイメンシャオ。ネッシーエクスペディション37年目の渡米顛末記Dほか、日米ブルーグラス情報満載!!

  MS-3010 最新2013年8月号(通巻358号)\540-

「ハウトゥープレイ・ブルーグラス」特集として、ブルーグラス楽器奏法のつかみ方を「岸本一遥のケニー・ベイカーから学んだこと」や「アールの日」のリポートを軸に特集。そのほか、奥 和宏「アメリカン・ルーツミュージック、ディスクでたどるアメリカ音楽史」、全国サイマル放送一覧表とFMはしもと「しもちゃんの“Bluegrass”でナイト」、学生プロファイル#7は首都大学東京「山本南希」、人口16人の瀬戸内海での「斎島ブルーグラス」、ブルーリッジに本拠を置くマウンテン・フィーバー・レコード社、埼玉・狭山市の美食ブルーグラスレストラン「SOFT」、ネッシーエクスペディション37年目の渡米顛末記Cほか、日米ブルーグラス情報満載!!

  MS-3009 2013年7月号(通巻357号)\540-

第26回マールフェスリポート」ほか、ジョージ・ジョーンズ追悼「カントリーソング」後編、ジェイコブ・シャープ「ミプソ」来日!、菅沼工房5弦フィドル製作記E最終回、井上 高とホームタウナーズ「50年前に活躍したプロのブルーグラスバンド」後編、学生ブルーグラス・プロファイル#6 北海道大学「兼平愛弓」、日本ブルーグラス年表#65「1977年」ほか、ネッシーエクスペディション37年目の渡米顛末記B、1911年ビル・モンローの生まれた日ほか、日米ブルーグラス情報満載!!

  MS-3008 2013年6月号(通巻356号)\540-

北海道の八雲フェス特集のほか、ジョージ・ジョーンズ追悼「カントリーソング」前編、ブルーサイド・オブ・ロンサムと坂本愛江、「Tri Barrel(トライバレル)」尾崎博志、古橋一晃、河合徹三、知っておきたい#2「新進気鋭のマンドリニストたち」、菅沼工房5弦フィドル製作記D、井上 高とホームタウナーズ「50年前に活躍したプロのブルーグラスバンド」前編、学生ブルーグラス・プロファイル#5 名古屋大学「山田遼一」、日本ブルーグラス年表#64「1976-77年」ほか、日米ブルーグラス情報満載!!

  MS-3007 2013年5月号(通巻355号)\540-

「フェスティバル・シーズン到来号」として、ブルーグラスフェスの歴史とウィンターグラス2013リポート後編のほか、ブルーグラス・リズムギター上達の近道、サードタイムアウト「ブルーグラスる!?(Bluegrassed)」、知っておきたいブラザーデュオ一覧、ケンタッキーのモアヘッド州立大学ブルーグラス科を訪ねた川合くんのすばらしいリポート、ネッシーエクスペディション米国ツアー顛末記A、学生ブルーグラスプロファイル#4「米澤 望(酪農学園大)」、菅沼工房5弦フィドル製作記Cなど特集ほか。

  MS-3006 2013年4月号(通巻354号)\540-

今月久々に来日、東海道をバンジョー行脚するビル・キースの大特集後編、ジェリー・ガルシアやライ・クーダーらとの逸話など、1963年のビル・モンローとブルー・グラス・ボーイズの重厚な写真をカバーに、ウィンターグラス2013リポート前編、ネッシー・エクスペディション米国ツアー記@、ブルーグラス・アルバム・バンド・リユニオン、マイク伊藤「留学のススメ」、ロストシティキャッツ・リユニオン、菅沼工房5弦フィドル製作記B、学生ブルーグラスプロファイル#3「森山亮治(大谷大)」などの特集ほか、日米ブルーグラス情報満載!!

  MS-3005 2013年3月号(通巻353号)\540-

4月に久々の来日、大阪、京都、名古屋、浜松、横須賀、東京でワークショップやコンサートをするビル・キースをカバーストーリーに、フルアルバム『Sailing Home』を発表し今月には全米ツアーをする女性トリオ、パイレーツ・カヌー、ハンク・ウィリアムズのセイクレッドソング解説、2012年年発表レコード総括、菅沼工房5弦フィドル製作記A、学生ブルーグラス断簡その壱「松本捺美(神大)と小形奈緒子(東北大)」などの特集ほか、日米ブルーグラス情報満載!!

  MS-3004 2013年2月号(通巻352号)\540-

ドブロのマイク・オルドリッジのカバーで追悼特集「ブルーグラスを変えたドブロ奏者」ほか、ブラザーデュオ秀作を発表した渡辺敏雄、かつてジューンアップル誌のスタッフだった菅沼利夫「5弦フィドルへの道@」、ラジオ関西「カントリーミュージック・トラベル」が今年20年、950回目を迎えているDJ阿部和則のリポート、1946年のブルーグラス誕生の年にオープリで出会った?ハンク・ウィリアムズとビル・モンローなどの特集ほか、日米ブルーグラス情報満載!!

  MS-3003 2013年1月号(通巻351号)\540-

アール・スクラッグスの右手の表紙写真にメイン特集は、村片和彦のアール・スクラッグス奏法解析「俺、アールやもん」と、先月号の50年前のフラット&スクラッグス『カーネギーホール』で「マーサ・ホワイト!」を叫んだ本人の当時のリポート「アール・スクラッグス異聞」ほか、市川慎一郎のボジョアギター“Slope D”「バンジョーキラー」修理リポート、若手ドブロ宣言「ドブロだって主役!」、60年前の1953年1月1日にアパラチア山中で息を引き取ったハンク・ウィリアムズの最後の1年ドキュメント、フットヒル・ドライブ「アメリカツアー記」などの特集ほか、日米ブルーグラス情報満載!!

 B.O.M.厳選、詳細解説コーナー!
 (新譜/旧譜の別なく、知りたい人のための知っておきたい情報満載の詳細解説コーナーです...!)
 ■ブルーグラス詳細解説
  RCSI-1108 BRAD LEE FOLK『Somewhere Far Away』CD(本体\2,450-)\2,646-

Foolish Game of Love/Trains Don't Lie/The Wood Swan/The Piper/Denver/Somewhere Far Away/Never Looking Back/Soil and Clay. 全8曲

心に響くシンガーって、そうそう簡単には出会えない。若い世代のシンガーになるとなおさらだ。2004年にモンロー・スタイル・マンドリンのデビッド・ロングとともに来日したブラッド・リー・フォークはまさに、私にとって稀有な出会いを感じた若いシンガーだ。2002年にラウンダーレコードが第二のジョンソンマウンテンボーイズという触れ込みと現代トラッドグラスのフロントランナーという鳴り物入りで送り出したオープンロードのリードボーカルがブラッドだった。

そのブラッド、2006年からしばらく第一線の音楽界から離れ、ホンキートンクを経営していたという。そののち人に経営権を売り……自分で飲み潰したという噂もあるが!?……お店は今もブラッドがやったと同様、1週間で6日の音楽やブルーグラスジャムがあるというから、意外と真面目に経営していたのかもしれない。数年前からナッシュビルに戻り活動を再開、アルバムを発表!

これが天才的なソングライターでもあることがここで証明され、しかもバックアップの若いミュージシャンたちが素晴らしいのだ! 活動を再開した年から、アリソン・クラウスを育てたことでも知られるラウンダーレコードのケン・アーウィンが、IBMAのショウケースなどでいつも真剣な表情で聴き入っていたのを私は見逃していない。分かる人には分かる、ブラッドはダイアの原石なのだと思う。その破天荒な人生経験に裏打ちされた詞と、どこかにグッとくるメロディの仕掛けはタダものじゃないぞ。

モンタナカウボーイじゃないが、本物のカウボーイ出身!といういまどき極めて珍しいブラッド。カーター・スタンレーの生まれ変わりと騒がれたが、レスター・フラット育ちの私も思わず唸ってしまった軽いノリ……多くのカーター・スタンレーもどきのトゥマッチなシリアスさとは違う、きっとほんまのカーターはこの程度のノリだったに違いない!と思わせる余裕!?の軽さが私に親近感を覚えさせたことを思い出す。きっと、えー加減な奴(とても良い意味だよ!?)に違いない、と。

2004年に来日したとき、若い彼らと多くの時間を共に過ごした。そのとき、私はブラッドの本性を見た……気がした。大阪ミナミ道頓堀界隈、私たち三人は予定通り最終電車を乗り過ごし、翌朝5時までの時間を有効に使った。すなわち、カニ道楽前のベンチでジャム、そしてサウナへ...。だがブラッド、さすが本物のカウボーイ、人前で裸になんて!絶対にあり得ない! 彼はひとり、道頓堀にのこり、ここで一時間後に!と約して戎橋筋商店街へ。風呂上りの我々がケータイのない時代、待てど探せど姿は見えず、そうこうしていると遠くからギターの音、近づいてみるとブラッド、ホームレスの人たちにコンサートの真っ最中だった!

その軽い、えー加減なノリ、その奥に言いようのない感情が込められていることに気付くのに時間はかからない。ビル・モンローの名唱で知られるジョージ・ジョーンズの曲"Old Old House"を歌うブラッドを想像すればいい。ブラッドは、感情が高ぶってしまい、最後まで歌えないのだから……。むかし、モンローもそうだった。極めてシンプルなあの曲には感情移入の仕掛けが組み込まれているようで、だからブラッドはいつも歌えなくなるのだ。そんなブラッドがほぼ8年間、暖めてきた歌が聴けるのだ!

  COMP-4600 PETER ROWAN『The Old School』CD(本体\2,450-)\2,646-

凄いです、やっぱ!! ……ピーター・ローワンって、70歳になった今もこの創作能力と、なによりも音楽力=音と詞に向かう精神力。タイトル通り、ブルーグラス第一世代(オールドスクール)の「やり方」を見事に見せ付ける2013年最近作。「クリーンに弾き、誠実に歌うこと……それは時代が変わってもおんなじなんだぜ!!」と繰り返すアルバムタイトル曲のテーマ。どの曲にもすばらしいストーリーとメロディが付せられ、前作『Legacy』(2010年 COMP-4543 \2,646-)同様さすがの充実。ロニーとロブのトラベリン・マッカーリーズ(デル抜きでツアーするときのバンド名)に、近年ところ構わずジャムを共にするマイケル・クリーブランド(f)、クリス・ヘンリー(m)、マイク・ウィッチャー(d)、ジェイソン・カーター(f)ら活きのいい若手がバンドを支える。もっとも信頼するキース・リトル(bj)のほか、ゲストにはボビー・オズボーン(81)、ジェシー・マクレイノルズ(84)、デル・マッカーリー、ドン・リグズビーとJ.D.クロウ、……モンロー調のハイロンサムではバディ・スパイカー&ステュアート・ダンカンのツインフィドル、……ドックに捧げた“Doc Watson Morning”ではブライアン・サットンをゲストに“You Are Lone Journey”や“Black Mountain Rag”、“Deep River Blues”などを組み込みながら、実に巧妙なストーリーテリング、……ボビーとジェシーという偉大なパイオニアにはそれぞれ特別な聴かせどころを配慮……。 昨秋、彼らをスタジオに迎えた翌日ピーターから私信が来た、「今日は一日、ボビーとジェシーと一緒だった」と。で、わたしは日頃から感じるボビーの激しさに関する解釈を返信した。その返信に曰く、「ボビー・オズボーンと歌うということは、ケンタッキー州ハイデンの古い道路と同様、それは一方通行の道;入ったところと同じところから出て行かねばならない! そこにはほかの道はあり得ない。エンシェントトーンがあなたを導くだろう。あなたは消えてしまうかも……あらゆる声は風景であり、歴史である。我々;それから学ぶ。これがブルーグラスの“オールドスクール”だ。今日がスタジオ最後の日だが、1月にもう一度戻ってもう少し録音だ。あたらしい曲"The Letter From Beyond"。風景は変わる、ただそれは天候だけのこと!」と。ともあれ、ますますブルーグラス精神の奥底に分け入っていくピーター・ローワン、ブルーグラス・パイオニアを迎えた傑作だ。

 ■インスト詳細解説
  PATUX-247 FRANK WAKEFIELD & TAYLOR BAKER『& Friends』CD(本体\2,450-)\2,646-

Echo Blues/Beautiful Dreamer/Ghost Riders in The Sky/Home Sweet Home/Beer Barrel Polka/Under the Double Eagle/Red River Valley/The Girl I Left Behind Me/The Last Thing on My Mind/Red Wing/Bonaparte's Retreat/Golden Slippers/Jesus Loves His Mandolin Player No. 1/Arkansas Traveler/My Old Kentucky Home/When You and I Were Young Maggie/Rockwood. 全16曲

アルバムのコンセプトを示すような一曲目のオリジナル“Echo Blues”でその偉大さを再認識させてくれるフランク・ウェイクフィールド(79歳)最新作は、近年のトップグループ(アーティスト)が目指す完ぺきなテクニック/サウンド志向とは対照的な、ブルーグラスが本来持つもうひとつの側面、「ヒトの弾く音の本質」を引き出すヒューマンな会話するジャムの秀逸な作品。フランクにとっては孫のような24歳のテイラー・ベイカー(弟ジェシーはバンジョー奏者として現在、トップグループのひとつデイリー&ビンセントで活躍中)や、19歳のマルチプレイヤーでここではギターを弾くブレネン・アーンストといった若者を相手に上記、馴染みのメロディで「音の本質」をさとすように聴かせる。

フランク・ウェイクフィールドは1934年6月26日、東テネシーのエモリーギャップ出身、ヘビを使うことで知られるペンテコスタル派教会に通いギターやハーモニカを学び、学校には通わず、大人になって文字を覚えたという環境で育ったと言う、いわゆる本物のヒルビリーか? 16歳のときにオハイオ州デイトンに移り同時にマンドリンを弾きはじめている(現在ニューヨーク州在住)。1950年、ビル・モンローのマンドリンがもっとも先鋭化した時期と重なる。モンローは1976年、「わたしの音楽にフランク・ウェイクフィールドほど近づいた者はいない」と語っている。

そんなモンローの魂を、おそらく完璧に理解した最初のひとりとして18歳のときに出会ったレッド・アレンとともに、ブルーグラス音楽の本質を探究しはじめている。そののち、短期間ジミー・マーティン(1958)やスタンレー・ブラザーズ(1959)に参加したが、1960年レッド・アレンと再編したケンタッキアンズでの活躍が、わがレッドクレイのアルバム(RC-104 CD\2,079-)も含めて有名だ。1964年にはニューヨークでグリーンブライアー・ボーイズに参加、超大名盤アルバム『Better Than Late Never』(1966)を残している(廃盤だが13曲中11曲がCD2枚組ベスト盤『Best of the Vanguard Years』\2,888-に収められている)。そののち、彼を尊敬するジェリー・ガルシアのグレイトフル・デッドやニューライダーズオブパープルセージ(デビッド・ネルソンとはコンビも組んだ)、ボストン・ポップオーケストラやエミルー・ハリスなどと共演している。来日したときは光栄にも我が家に滞在、家族は毎朝8時からマンドリン練習を聴かされた……。

彼の書いた“New Camptown Races”(1957年発表) や“Rondo”(1963年発表) はブルーグラスマンドリンのクラシックである。彼を師と仰ぐデビッド・グリスマンは、「彼はブルーグラスマンドリンの原子を分裂させました。それ以来われわれは、明らかに同じではありません」とその絶大な影響について述べている。つまりフランクは、モンローの感覚的なアルペジオやタイミングを明確なポリフォニー(和声)とポリリズム(複合リズム)に置き換えて見せたのではないかと思う。

決してスリルと興奮に満ちたスーパーピッキンとドッキマリのアンサンブルではないけれど、誰もが口ずさむことのできるメロディで、優しくシンプルな音の会話をするような、それでいてブルーグラスマンドリンの魂が貫かれた、幸いにバンジョーレスの、マンドリン好き=楽器好きにはたまらない秀作。

 ■映像もの詳細解説
  BYGF-9122 V.A.『Herschel Sizemore: Mandolin in B, A Tribute to a Bluegrass Legend』DVD(本体\2,750- 55分)\2,970-

Cripple Creek(Del & Jerry McCoury, Dick Smith, Herschel Sizemore)/Night Riding(Del & Jerry McCoury, Dick Smith, Alan Bibey)/Rebecca(Stacy Grubbs Band)/Old Joe Clark(Acoustic Endeavors with Butch Robins)/The Tenth Day of September(The Travelers)/Golden Slippers(Roanoke Mandolin Ensemble= Herschel Sizemore, Alan Bibey, Dale Reno)/Little Willie(Kevin Baucom & Bandwagon)/I'll Be No Stranger There(Seldom Scene)/Cotton Eted Joe(Herschel Sizemore & Alan Bibey)/Washed in the Blood(Shenandoah Valley Cutups).

2011年にガン宣告を受けたハーシャル・サイズモア(78)、翌年のベネフィットコンサートの模様を伝えるDVD映像。1979年に来日したデル・マッカーリー&ディキシーパルズ、ハーシャルにディック・スミスとジェリー・マッカーリーの1979年の来日メンバー(フィドルの故ソニー・ミラー以外)が思い出を語る。デル自身も含めて初めて食べた寿司のこと、ハーシャルはただ目を白黒させていたと弟ジェリー。そしてその4人で“Cripple Creek”を演じた後、ハーシャルが早い曲を弾ける状態ではないということでアラン・バイビーが変わってディック・スミスのオリジナル“Night Riding”。ちなみにこのときライブコンサートの思い出は、沼田真さんが「デル・マッカーリー&ディキシー・パルズ〜1979年12月3日、初来日公演の記憶」としてムーンシャイナー誌2010年3月号(\540-)に寄稿している。

それからはインタビューと演奏が交互に紹介され、ハーシャルの経歴、人となり、そしてその素晴らしいマンドリンのヒミツ!?が語られる。まず、クリス・シーリとジョン・ロウレスが交互に「キーが“B”」という“Rebecca”の素晴らしさと意義について語る。2曲目はローカルのステイシー・グラブス・バンドによるそのスタンダード“Rebecca”、ギターがうまかった母の名はレベッカ。3曲目はブッチ・ロビンスとジョン・ロウレスらの“Old Joe Clark”。デビッド・グリスマンがインタビュー出演して1960年代のディキシー・ジェントルメン衝撃を語る。4曲目は、コンサートの仕掛け人でもあるマイク・コナーが参加するザ・トラベラーズ“The 10th Day of September”。

5曲目はシェナンドーバレーカッタップス1971年映像による“Are You Washed in the Blood”、決して「今どき」のバンドでは聴けない素晴らしい音とエネルギーのカタマリ!! ビル・モンローとは仲が良かったハーシャル、彼が弾いているとモンローが後ろに来て、(1音ずつクリアな流れるような16部音符の)「その弾き方は間違っている」という。するとハーシャルが、「誰があなたが正しいと言った?」と言い返す、そんな仲だったという。6曲目はハーシャル、アラン・バイビー、デール・レノによるロアノーク・マンドリン・アンサンブルによる“Golden Slipper”。シェナンドーカッタップスを離れて、ジョー・マリンズらとカントリー・グラスを結成してアルバム二枚を発表、J.D.クロウやサード・タイム・アウト、サミー・シーラー、ドイル・ローソンらがハーシャルの右手とチョップについて語る。サミー・シーラーをダドリー・コンネル、デビッド・マクローリン、マーシャル・ウィルボーンらの元ジョンソン・マウンテンボーイズがバックアップする“Angeline the Baker”。

ハーシャルと同じ日にガンを宣告された妻ジョイスが揃って登場、「一度に家族ふたりがガンになった苦しさと、それでも皆さんの志に心から……」どれほど感謝しているかを、アメリカ人らしくウエットにならず短く語る。ケビン・バウコム&バンドワゴンの“Little Willie”。グリスマンが、「おそらくハーシャルは彼の時代でもっとも完璧なマンドリン奏者であったろう」など、さまざまなアーティストが短くコメントする。そして最後、セルダム・シーンが“I'll Be No Stranger There”を演じる。

残念ながら、わざわざニューヨークから自費で駆けつけたパンチ・ブラザーズは権利関係で登場しないが、バージニア州ロアノーク近辺のブルーグラスコミュニティが一丸となってハーシャルのために作った心温まるコンサートの様子を伝えてくれる。ちなみにクリス・シーリは昨年8月、ウォールストリートジャーナルのインタビューで自身の音楽とジャンルについて語っているが、その始まりは“Rebecca”のバロックスタイル、そして終わりはブルーグラススタイルで閉めている(chris thile, wall street journalで検索)。

モンロー(1911-1996)/マクレイノルズ(1929-)/オズボーン(1931-)ら第一世代のクリエイター(創造者)たち、ダッフィ(1934-1996)/ウェイクフィールド(1934-)=グリスマン(1945-)/ブッシュ(1952-)/シーリ(1981-)らのイノベーター(革新派)らとは一線を画し、バッサー・クレメンツ(1928-2005)も在籍したディキシージェントルメン(1957-1965)でマクレイノルズ張りのクロスピッキンで驚かせたのち、ジミー・グドローらとと創った一連のトレンドであるスムースでクリアな16部音符を持ち味に、ボーイズ・フロム・シャイロ('66)、ジミー・マーティン('67-68)、シェナンドーカッタップス('69-74)、カントリーグラス('74-76)、デル・マッカーリー&ディキシーパルズ('78-79)、ブルーグラス・カーディナルズ('91-95)、そして1995年にハーシャル・サイズモア・バンドを結成、活躍した。

2011年10月、同じ日に妻のジョイスとともにガンを宣告されるという大きな試練に見舞われたハーシャル、友人のマイク・コナーと生徒のスペンサー・ブランケンシップのふたりの呼びかけで、翌2012年2月、3バンドではじまった小さなアイデアが、どんどん大きくなってデル・マッカーリーやパンチ・ブラザーズまでが参加を申し出る15バンドの大コンサートになったという。そのことだけでも、ハーシャルがどんな人なのか、容易に想像されるだろう。

なお、本作の売り上げはハーシャル・サイズモア名義でブルーグラス・トラストファンド(IBMAが創設した互助基金=毎秋のIBMAファンフェスなどの収益がストックされ通常5千万円程の基金が困窮するブルーグラス関係者のために準備されている)に寄付される。

「人々が費用と時間をかけて来てくれる。それはただ“ウワーッすごい”というようなものではありません。あまりにも恐れ多いことなんです」と、冒頭で述べるハーシャル、それはわれわれがこれまでの演奏や映像からイメージしていた通り、ものすごく礼儀正しく真摯な人となりなのだろう。音楽映像作品としては標準点かもしれないが、ブルーグラス映像としては愛情のこもった、コミュニティ映画として素晴らしいものだと思う。

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