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■宇野誠之の"NEW ARRIVALS #2"■

(2000年11月13日)
(1960年代からレコード・コレクターとして知られ、その後30年以上に渡って、第1線のレコード業界で活躍してきたベテラン・コレクター、宇野誠之の視点から、新譜を紹介します。ちなみに、氏は楽器を弾かない、純然たるリスナーである)

●JOHN HIATT 『Crossing Muddy Waters』 VAN-79576 CD \2,750

Lincoln Town/Crossing Muddy Waters/What Do We Do Now/Only The Song Survives/Lift Up Every Stone/Take It Down/Mr. Stanley/God's Golden Eyes/Before I Go

独自のブルージーなヴォーカルと、卓越したギター・ワークで根強いファンをもつヴェテラン・ロック・シンガー、ジョン・ハイアットの20年以上に及ぶキャリアで初のアコースティック・アルバム。自らのギター、ナショナル・リゾフォニック・ギターに、長年のパートナー、デヴィッド・インマーグリュック(m、エレクトリック・スライド・ギター他)と、デイヴィー・ファラガー(b)というシンプルな編成で、ソウルフル&ブルージーでレイド・バックしたヴォーカルと、ヤンク・レイチェルを想起させるプリミティヴなマンドリンが、言いようのないゆったりとした空間を作り出している。サム・ブッシュの"Memphis In The Meantime"(テルライドのライヴ『Ice Camps』SH-3917が凄い)の作者として、ブルーグラス・ファンにも少しは知られたジョンだが、このアルバム全体に、サム&ジョン・カウワンのあれやこれやを想わせる曲調で、サムのファンならきっと気に入るのでは........

●SONYA ISAACS 『Sonya Isaacs』 HL-65004 CD \2,650

I've Forgotten How You Feel/That's What Love Demands/Let's Not Lose Each Other Anymore/How Can I Forget/Barefoot In The Grass/Two Badly Broken Hearts/Just Go/Give Me Tonight/On My Way To You/Who Knew/Healing Hands/The Battlefield 全12曲

ディ・アイザックスの看板娘、ソニア・アイザックスのメジャー・カントリー進出第1作。ソニアに肩入れしているヴィンス・ギルが12曲中7曲をプロデュースしている。ヴィンスの人脈もあって、ランディ・スクラッグス、スティーヴ・ギブソン、ジョン・ジャーヴィス、ダン・ダグモア、ブルース・バウトン、オーブリー・ヘイニー、ウィリー・ウィークス等々、ナッシュヴィルの今の音を創り出しているプロ中のプロが完璧なサウンドをクリエイトし、ハーモニー・ヴォーカルには、ディ・アイザックスやヴィンスに加えて、ドリー・パートン、スティーヴ・ウォリナー、ジョー・ディフィ−など、何とも贅沢なラインナップで、ソニアのメジャー・デビューをサポートしている。ソニアのヴォーカルは、高音の伸びやかな美しさを生かした素直なスタイルで、最近のナッシュヴィルの傾向となっている、ややポップなサウンドを意識した造りがメインとなっている。ラストで自らの出自をきっちりとアピールして、余韻を残しているあたり好感度大。ヴィジュアルは完璧に近頃の女性シンガーの流れに沿ったものだ。

●MERLE HAGGARD 『If I Could Only Fly』 ANTI-86593 CD \2,650

Wishing All These Old Things Were New/Honky Tonky Mama/Turn To Me/If I Could Only Fly/Crazy Moon/Bareback/(Think About A)Lullaby/I'm Still Your Daddy/Proud To Be Your Old Man/Leavin's Getting Harder/Thanks To Uncle John/Listening(To The Wind) 全12曲

いったいぜんたい何作目になるのだろう、40年近くもの間常に第一線で活躍し続ける、孤高のカントリー・ジャイアント、マール・ハガード2000年の最新オリジナル・アルバム。ジョニー・キャッシュが言うように、この新たなる創造力は何処からくるのだろうか、全く衰えを感じさせないオリジナリティには、ただただ感服するのみだ。デビュー当初のメッセージ性は流石に失われたが、対象を見つめる視線の優しさが伝わってくる。

●LES PAUL AND MARY FORD 『Bye Bye Blues/Les And Mary』 COLL-2778 CD \2,650

Wabash Blues/Bye Bye Blues/Blues Stay Away From Me/Deep In The Blues/It's A Lonesome Old Town/Walkin' And Whistlin' Blues/St.Louis Blues/Mammy's Boogie/Frankie And Johnny/Don't Cry Baby/Jazz Me Blues/Smoke Rings/Falling In Love With Love/On The Sunny Side Of The Street/Just One Of Those Things/Twelfth Street Rag/Lies/Turista/Swing Low, Sweet Chariot/Nuevo Laredo/The Best Things In Life Are Free/Moritat-Theme From "Three Penny Opera"/Some Of These Days/Tico, Tico/Baby, Won't You Please Come Home/Dangerous Curves/I'm Movin' On/Farewell(For Just Awhile) 全28曲

●LES PAUL AND MARY FORD 『The Hit Makers/Time To Dream』 COLL-2779 CD \2,650

How High The Moon/Josephine/Mockin' Bird Hill/Whispering/Vaya Con Dios/I'm A Fool To Care/The World Is Waiting For The Sunrise/Meet Mister Callaghan/Tiger Rag/Tennessee Waltz/I'm Sitting On Top Of The World/Whither Thou Goest/That Old Feeling/Bewitched/My Silent Love/I Surrender, Dear/You Call It Madness(But I Call It Love)/June In January/Moonlight And Shadows/I Can't Get Started/How Deep Is The Ocean/Sweet And Lovely/Prisoner Of Love/If I Had You 全24曲

●LES PAUL AND MARY FORD 『The New Sound/The New Sound Volume U COLL-2780 CD \2,650

Brazil/Hipbillie Boogie/Swiss Woodpecker/Caravan/Sleep/Lady Of Spain/Lover/The Man On The Flying Trapeze/By The Light Of The Silvery Moon/What Is This Thing Called Love?/Nola/South/In The Good Old Summertime/Three Little Words/Lonesome Road/Chicken Reel/I'm Confessin'(That I Love You)/The Carioca/I Can't Give You Anything But Love/Just One More Chance/I'm Forever Blowing Bubbles/The Moon Of Manakoora/Don't Cha Hear Them Bells/La Rosita 全24曲

元祖「エレキの神様」レス・ポール(おととしあたり、チェット・アトキンスなんかと元気なところを見せてましたね)と、奥方メリー・フォードのゴールデン・コンビ名唱・名演集3タイトル。夫々、キャピトルからの2枚のLPを1枚のCDに収めたもので、1950年代に一世を風靡した、レスのスマートなギター・ピッキンと、メリーの愛くるしいヴォーカルが、これでもか、と詰め込まれたお徳用盤。曲は見てのとおり、当時のポップ・ヒットからスタンダードまで、お馴染みの曲がズラリ、古き佳き時代のアメリカを象徴するグッド・ミュージック。

●TOKYO HOT CLUB BAND 『Train Blue』 HCPCD-0778 CD \2,667

Train Blue/Cabin Windows/Spain/How High The Moon/Lullaby Of Birdland/Donna Lee/Liberty City/City Night Line/Duce Amblance/Fidele/I Found A New Baby/I'm Gettin' Sentimental Over You/I Remember Clifford 全13曲

ジャンゴ・ラインハルト直系のジプシー・スウィングに、目いっぱいの現代色を盛り込んだ日本の第一人者、東京ホット倶楽部バンドの最新作。グッド・オールド・デイズのポップ・スタンダードから、ベニー・ゴルソン、チック・コリア、チャーリー・パーカー等のジャズ・ジャイアント、そして、大矢貞男のオリジナルをバランスよく配して、非常に聴きやすく、楽しいアルバムとなっている。ヴァイオリンとギターのアンサンブルに細心の注意を払った、アコースティックの響きが心地よい。

●DOC WATSON 『Foundation』 SH-3916 CD \2,750

Black Mountain Rag/Windy & Warm/June Apple/Doc's Guitar/Stone's Rag/Victory Rag/Nashville Pickin'/Medley:Fiddler's Dream,Whistling Rufus,Ragtime Annie(Raggedy Ann)/Billy In The Lowground/Rainbow/Dill Pickle Rag/Salt River-Bill Cheatham/Lonesome Banjo/Texas Gales/Tucker's Barn/Cannonball Rag 全16曲 ことさら何の説明もいらないでしょう、ドック・ワトソン入魂のギター・インスト集。ドックのインスト集はフライング・フィッシュに1枚有るが、これは、有りそうでなかったヴァンガード時代の13曲に、シュガー・ヒルの3曲を加えた必殺のコレクション。ソロ、マール・トラヴィスとのデュオ、ナッシュヴィル・セッション、ブルーグラス・セッションと、多彩な表情でのドックのギターが、35年のスパンを通してあらためて聴き直してみることで、今更ながら、なんと凄いものかを再認識させられる。

●V.A. 『Transatlantic Sessions』 CM-2003 CD \2,750

Waiting For The Federals-Aly Bain/Simple Life-Ricky Skaggs/Sanseptique-Tommy Hayes/Bachelor's Walk-Breda Smyth/Always Will-Nanci Griffith,Ricky Skaggs,Sharon White/La Danse de la Vie-Michael Doucet/Nobody Wins-Radney Foster/Magic Foot-Sharon White/Storms Are On The Ocean-Sharon White/Trouble In The Fields-Maura O'Connell/Hummingbird-Eddi Reader/Tribute To Peadar O'Donnell-Jerry Douglas/September When It Comes-Rosanne Cash/Marriage Made In Hollywood-Paul Brady/Puirt A Beul-Iain MacDonald 全15曲

タイトルからも明らかなように、アメリカ新大陸とそこに渡った人々の心の故郷、アイルランド、大西洋の両側に伝わるアメリカン・フォーク・ミュージックと、アイリッシュ・トラッドの密接なつながりを一望のもとに俯瞰してみせた、ジェリー・ダグラス・プロデュースの意欲作。ジェリー、ラス・バレンバーグ(g)、マイケル・ドゥーセ(f)らに、アイリッシュの名人たちを迎え、ヴォーカルには、アメリカ側にリッキー・スキャッグス、シャロン・ホワイト、ナンシ・グリフィス、ローザンヌ・キャッシュ、アイルランド側にはモーラ・オコンネル、ポール・ブラディ、イアン・マクドナルド、エディ・リーダー(フェアグラウンド・アトラクション)と、贅沢な顔ぶれを配してのルーツ・リクリエイト・セッション。トラッド色いっぱいのアイリッシュ・フィドル・チューンから、ジェリーの不思議なムードをたたえたオリジナルまで、また、カーター・ファミリーの名曲からナンシ、ローザンヌの美しいメロディまで、今更ながら、アメリカン・ミュージック、とりわけフォーク、ブルーグラスに色濃く影を落とす、アイリッシュ・ミュージックのもたらしたものの大きさが、理解されようというものだ。

●ANGER/MARSHALL BAND 『Brand New Can』 COMP-4296 CD ¥2,750

Coal Burnin' Grease Fire/Queequeg's Big Adventure/Around Here/Zakir/Goodnight Manatee/The Fall/Our Life/Tuesdays At 7:30/Emu's Blues/Brooksboro Terrace 全10曲

ダロル・アンガーとマイク・マーシャルのユニット、アンガー/マーシャル・バンドの『Jam』(COMP-4269)に続く第2作。

●THE WHITES 『A Lifetime In The Making』 CM-2004 CD ¥2,750

Always Coming Home/How Many Moons/Before The Prailie Met The Plow/Texas To A 'T'/Apron Strings/Old Man Baker/I Miss Who I Was (With You)/Key To The Kingdom/Fair And Tender Ladies/Jesus Is The Missing Peace/Old Hands/The Cowboy Lives Forever全12曲

はて、何年ぶりになるのだろう,ザ・ホワイツの新作だ! いきなりバック・ホワイトのあのえもいわれぬ美しさで奏でられるギルクリスト・マンドリンに、ジェリー・ダグラスが絡んでくるイントロから、円熟味を増したシャロンとチェリルのヴォーカルへとひきずりこまれて、一気にザ・ホワイツの世界に突入して行くこの快感を、何と表現すればいいのだろうか? ジェリーの他は、オーブリー・ヘイニー(f)、ケニー・マローン(drums,4曲)、ジョーイ・ミスカリン(accordion,2曲)、ブライアン・サットン(g)という強力メンツに、バックのマンドリン、シャロンのリズム・ギター、チェリルのベースという布陣で、見事に抑制されたアコースティック・サウンドが存分に楽しめる。もちろん、お約束、バックのピアノとシブーいヴォーカルが楽しいテキサス・スウィングあり、ケニー・ベイカーに捧げたマンドリン/フィドル・インストあり、ブラック・ゴスペル風あり、ジェリー、オーブリー、ブライアン夫々の聴かせどころもしっかりとおさえて、最高のアコースティック・アルバムに仕上がっている。エミールー・ハリスが1曲しっとりと聴かせる。ラスト、あの今を時めくディキシー・チックスがデビュー作で1曲目にとりあげていたカウボーイ讃歌で軽快に締めくくっている。バンジョー・レスの爽やかアコースティック/ブルーグラス。

●JOHN DUFFEY 『Always In Style:A Collection』 SH-3926 CD \2,750

Let Me Be Your Friend/Long Black Veil/The Old Hometown/Tennessee Blues/Rose Of Old Kentucky/Walk Through This World With Me/Philadelphia Lawyer/Were You There/Say Won't You Be Mine/Willie Roy/I Haven't Got The Right To Love You/After Midnight/The Boatman/They're At Rest Together/Picture From Life's Other Side/Hickory Wind/She's More To Be Pitied/Here Today And Gone Tomorrow/Let Old Mother Nature Have Her Way/Girl In The Night/Life Is Like A Mountain Railway 全21曲

ジョン・ダフィが亡くなって早4年、シュガー・ヒルから初めてのコンピレーション・アルバムが発売された。セルダム・シーンの中心人物としてシーンを引っ張り続けた中・後期、シュガー・ヒル移籍後の78年から96年、アルバムでいうと『Act Four』から『Dream Scene』までに、『Bluegrass:The World's Greatest Show』を加えたシーンでの19曲に、『Classic Country Gents Reunion』からの2曲を含めた全21曲、インスト1曲を除いて、そのいずれもがダフィ一流のインパクトに満ち満ちた強烈なヴォーカルに焦点を当てた選曲となっている。思いっきりテンションの効いたパワフルな唄法で、バンドをぐいぐいと引っ張っていくと同時に、聴き手を煽り立てて一体化させていく、いわゆるカリスマといってもいいのだろう、ダフィの際立った個性、特異なパーソナリティを改めて確認させられる。欲を言えば、レーベルの壁を超えて初期の傑作群からの曲がほしかったし、数多く残していたであろう未発表ライヴ・テイクなんぞも、とは思うけれど、それはそれとして、ジョン・ダフィというスタイリストを俯瞰するに格好のコレクションとして、お勧めの一枚。

●JOHNNY CASH 『American V:Solitary Man』 COL-69691 CD \2,650

I Won't Back Down/Solitay Man/That Lucky Old Sun (Just Rolls Around Heaven All Day)/One/Nobody/I See A Darkness/The Mercy Seat/Would You Lay With Me (In A Field Of Stone)/Field Of Diamonds/Before My Time/Country Trash/Mary Of The Wild Moor/I'm Leavin' Now/Wayfaring Stranger 全14曲

グラミー賞コンテンポラリー・フォーク部門受賞の『American Recording』(94年 COL-69402)からスタートした、ジョニー・キャッシュ近年のライフ・ワーク、アメリカン・シリーズの最新第3作。自作をメインに、コンテンポラリー・ライターの作品から、ジャズ・スタンダード、トラッドまで、タイトル通り、アメリカの「現在」をキャッシュならではの鋭い感覚で表出した意欲作。病癒えたキャッシュの復活が喜ばしい。

●DWIGHT YOAKAM 『Tomorrow's Sound Today』 WB-47827 CD \2,450

Love Caught Up To Me/What Do You Know About Love/Time Spent Missing You/Free To Go/A Promise You Can't Keep/A Place To Cry/The Sad Side Of Town/Dreams Of Clay/For Love's Sake/The Heartaches Are Free/A World Of Blue/I Want You To Want Me/Alright I'm Long/I Was There 全14曲

企画アルバム『dwightyoakamacoustic.net』(WB-47714\2,650)に続いて早くもオリジナル・アルバムの登場。メジャー・カントリーの制約の中で、これだけ尖がり続けていられるというのは、実に奇跡的な存在としてホント、賞賛に値するものだ。今回もまた、ピート・アンダーソンのプロデュースで、いつもながらの先鋭的、アグレッシヴなサウンドをキープしている。ラスト2曲は、ベイカーズフィールド・サウンドの先達にして、ドワイトのアイドル、バック・オウエンズとのデュエットがボーナス・トラックとして収録されたもの。ジム・ローダーデイルのハーモニー・ヴォーカルがいい味を醸し出し、ゲイリー・モースのラップ・スティールが秀逸。クリス・ヒルマン、フラコ・ヒメネスがゲスト。

●KARL SCIFLETT & BIG COUNTRY SHOW 『Same』 REB-9003 VHS \4,500

Salty Dog Blues/I Don't Care Anymore/The Love We Have Will Never Die/The Bluegrass Breakdown/I Know What It Means To Be Lonesome/Walking In The Big Country/Poor Rebel Soldier/The Old Rugged Cross/My Home's Across The Blue Ridge Mountains/Delbert's Breakdown/Where The Smoke Gets Up And The Money Goes Down/The One I Love Is Gone 全12曲 44分

  98年のIBMAショウケースで大人気となり、一躍第一線に躍り出たカール・シフレット&ビッグ・カントリー・ショウの初ビデオ作品。とにかく半端じゃない50年代、クラシック・ブルーグラスへのこだわりと、ビル・モンロー、フラット&スクラッグスへの真摯なリスペクトがまず最初にあって、バンド・サウンド、ファッション、ステージ・アクション等、全てがそこからスタートしているという、下手をすれば化石みたいなことになってしまいかねないという、危うさを孕んだ不思議なバンドではある。それにしてもこのこだわり、リスペクトは尋常ならざる異様な雰囲気を醸し出し、そこを容認できるかどうかが、彼らを認められるかどうかの境界線となるだろう。実際のライヴではもっとコミック・バンド状態だということだが、このビデオについては、ギリギリのところでふみとどまって、あたかも50年代にタイム・スリップしたかの如き感慨を抱かせてくれる、上質のエンターテイナーぶりが十分楽しめる。ノース・カロライナでのライヴと、WPAQラジオでの黄金時代ライヴ・ラジオ・ショウの再現に、若干のインタヴューという構成で、ワン・マイク・セッティングでのアクションの妙が興をそそる。モンローの未発表曲等、いい味を出している。

●TAMMY FASSAERT 『Corner Of My Eye』 TCP-202 CD \2,750

Angel Eyes/Corner Of My Eye/Proud Ponderosa/Lonely Violet/Buddy's Back/Set Me Free/Dancing To The Change/Gonna Row My Boat/Trail Of Diamonds/Moods Of A Fool/Providence Ferry/Leaf On The Vine 全12曲

日本にも根強いファンを持つタミー・ファサート久々のセカンド・ソロ・アルバム。自作オリジナルをメインに、なつかしのデルモア・ブラザーズからコンテンポラリー・ソングライターまで、メロディーを大事に唄った曲が揃っている。ジョン・ライシュマンの繊細なマンドリンを軸とした美しいアンサンブルをバックに、いかにも女性シンガーならではの優しさで、ソフトなブルーグラスと、近頃はやりのアコースティック・ハーモニーに、心癒される人も多いだろう。ジョン、サリー・ヴァン・ミーターの他は知らない名前が並ぶが、控えめながら堅実な演奏でシュアーなサポートぶりは好印象。

●RON RIGSBY 『Banjo On The Run』 RRR-0210 CD \2,750

Banjo On The Run/Ghost Riders/Blue Fiddle Waltz/Cumberland Gap/Blue Kentucky Mountains/Miss Amy/Haley Bird/Standing On The Mountain/The Price Is Right/Train 45 "Jumped The Track"/Takin' The Backroad "To JD's"/The Young Man That Wouldn't Hoe Corn/Mandolin Rain 全13曲

実力・人気共に急上昇のドン・リグスビーをサポートし続けてきた兄、ロン・リグスビーのバンジョー・アルバム。イースタン・ケンタッキー・トラディション、スタンレー・トラディションをベースに、J.D.クロウをアイドルとするロンの、シュアー&ソリッドなバンジョーを、ドンのマンドリン、ロブ・アイクスのドブロなどがバックアップする。何曲かのドラムがちとうるさすぎるのが難点だが、兄弟のデュエット・ヴォーカルも楽しめ、加えて、これがおそらくラスト・レコーディングだという、ランディー・ハワードのフィドルが力強くも美しい。"Blue Fiddle Waltz"は、そのランディーに捧げたもの。

●MARK GAINER 『Heart & Mind』 MG-2 CD \2,750

I Won't Be Calling For You/I Know She's Homeward Bound/Little Girl At The Station/You Never Even Cried/Beauty Is A Fading Flower/A Picture Of Calvary/Foggy Mountain Special/Heart Of Stone/White Dove/Long Lost Love Affair/Broken Vows/Satisfied Mind/Come And Take My Hand/Live In Glory 全14曲

ウエスト・ヴァージニアをベースにソング・ライター、シンガーとして活動しているマーク・ゲイナーのソロ第2作。友人でもあるロンサム・リヴァー・バンドのドン・リグスビーとケニー・スミスをメインに、ロン・リグスビー、ジョン・キース、ジョニー・スターツ、ジェイムズ・プライスなど、多彩な顔触れ。ドンがいうところの、"グッド・トラディショナル・ソングを書けるコンテンポラリー・ライター"、マークのLRB等に取り上げられた曲を含め、ウエスト・ヴァージニアのトラッド・ブルーグラスのいい雰囲気、味わいを盛り込んだ、ソング・ライティングにも要注目の一枚。

●V.A. 『Knee Deep In Bluegrass:The Acu Tab Sessions』 REB-1759 CD \2,750

Lonesome Wind/Angeline The Baker/Knee Deep In Bluegrass/Benny McCoy/Turkey In The Straw/Carter's Blues/Buffalo Creek/Pretty Boy Floyd/Golden Slippers/ By Stealth/Home Run Man/Four Leaf Clover/Little Liza Jane/Daddy's Dream 全14曲

数多のアマチュア・ブルーグラッサー(と、一部プロ?)の大いなるお助けマン、アキュ・タブからの出版物を素材に、アキュ・タブに関係するミュージシャン総動員で制作された一大プロジェクト・アルバム。とてもじゃないがここには書ききれない総勢21名、どの曲に誰が入っているかは、現物を見て、聴いてのお楽しみといったところだが、コンポラ・ソリッド勢を中心にいずれ劣らぬつわものどものが、タイトル通りどっぷりとブルーグラスにつかった強烈なアルバム。タイトルは、テリー・バウカムが初めて創ったというモンローのアルバムから名付けられたインスト。ハイテクを駆使したインストを中心に、R・ボウマン、A・オブライアンなどのヴォーカルも交えての大スーパー・セッションが楽しい。

●CHRIS JONES 『Just A Drifter』 REB-1769 CD \2,750

Just A Town/Cowboys Ain't Supposed To Cry/Uphill Climb/The Man On The Side Of The Road/Tonight I'm Gonna Ride/Pretty Saro/The Last Nail/Witness/Slave Rock/Heartaches To Forget/BRN Breakdown/A Few More Years 全12曲

真摯なヴォーカルと卓越したソング・ライティングで高い評価を得ている好漢、クリス・ジョーンズの最新第4作。高い評価の割にポピュラリティに欠けるきらいがあり、そろそろ決定打がほしいところではある。今作でも、旧友ジョン・ぺネルとの共作を含む自作オリジナルに、ホンキー・トンク・クラシックやトム・T・ホール・ソングなどで変化をつけて、落ち着いた味わいのヴォーカルを聴かせている。前作、レギュラー・バンド、ナイト・ドライヴァーズとのアルバムもいい味を出していたが、今回は、デイヴ・タルボット(ロンサム・スタンダード・タイム)、ロン・ステュワート、ロン・ブロック、ダン・ティミンスキー、ロブ・アイクス、マイク・コンプトン等のシュアーなバックアップと、クリスのハイ・クオリティなオリジナルが、新しいトラッド風味を見事に演出している。

●RALPH STANLEY 『While The Ages Roll On』 REB-1765 CD \2,750

Dad's Old Rocky Field/Are You Ready/Gone Away With A Friend/Daddy's Wildwood Flower/While The Ages Roll On/Old Job/The Day Is Past And Gone/Man From Galilee/One Drop Of Water/Because He Loved Me/Waiting For Me/A Robin Built A Nest On Daddy's Grave 全12曲

大御所、ドクター・ラルフ・スタンレー悠々のゴスペル集。ラルフ二世、ジョン・リグスビー、スティーヴ・スパークマン他の現在のクリンチ・マウンテン・ボーイズに、シェルトン・フィ−ゼルのバス・ヴォーカル、そしてジョージ・シャフラーがゲストで2曲参加しているのもファンには嬉しい。

●LARRY SPARKS 『Special Dolivery』 REB-1756 CD \2,750

Colleen Malone/Timberline/Lovin' On Borrowed Time/Ghost Stories/Be Nobody's Darling But Mine/Around The Carousel/California Zephyr/I'm Moving/Richmond County/San Antonio Rose/The Undelivered Message/Snow Covered Mound 全12曲

ソウルフルなブルーグラスを唄わせたらこの人の右に出るものはいない、というラリー・スパークスの新作。このところゴスペルが続いていたが、久々のストレート・ブルーグラス集。ピート・ゴーブル、ゲイリー・ファーガソン、ポール・クラフト等のストーリー・ソングをメインに、ジミー・デイヴィス、ハンク・ウィリアムズのクラシック、ボブ・ウィルス・スウィングのインスト・ヴァージョンなど、進境著しいスコット・ネイピアのマンドリンを軸に、ラリー印のブルーグラスに仕立てている。いつもに比べると若干抑えたヴォーカルが、逆に各曲のストーリーを際立たせているという感がある。

●LOU REED & CAROLINA 『Blue Heartache』 REB-1762 CD \2,750

Blue Heartache/I Stood & Watched You Go/Letter From My Darlin'/Living In Our Country Wprld/Helen/Out On The Highway/Grass Lover/Take This Hammer/Memories Don't Die/Ain't Nobody Gonna Tie Me Down/The Hobo Song/I've Been Over You Before 全12曲

セルダム・シーンとのかけもちも大変そうなルー・リードの、自身のグループ、カロライナでの新作。バリバリのコンポラ・ソリッドからモンロー・クラシック、カントリー・ジェントルメンにオズボーンズ、はてはジャック・ボーナスまで、ちょっと手を広げすぎの感はあるが、ジーナ・ブリットとのコンビネーションは間然するところなく、ヴォーカルも彼女の特質を生かした選曲をうまく取り込んで、さわやかな仕上がり。ゲスト、ロニー・スチュワートがここでもいいフィドルをフィ−チュアしている。

●VALERIE SMITH 『Turtle Wings』 REB-0602 CD \2,750

I Feel The Blues Moving In/Oh Mandolin/Sweeter Field of Clover/Big Ol' Train/Times Like These/Simpson's Holler/Dancin' By The River/Turtle Wings/Hand Me Down/Someday Came Today/Good Man/Now He's Gone/Mama's Roses 全13曲

デビュー作『Patchwork Heart』(REB-0601) で一気にブレイクしたヴァレリー・スミスの2ndアルバム。デル・マカーリーのハードなブルーグラスから始まるこのアルバム、ティム・オブライエン、スチュアート・ダンカン、ブライアン・サットン、ジェリー・ダグラス等の繊細なアコースティック・サウンドによる、デビー・ニムズ、サラ・メイジャーズやヴァレリー自身等、女性ソング・ライターの美しい曲に、ツアー・バンド、リバティー・パイクとのどこか懐かしいブルーグラス・ソング、そして軽いスウィング・ナンバーに、ちょっぴりジャジーでブルージーなタイトル・ソング等、アラン・オブライアンのプロデュースと相俟って、デビュー作がフロックでなかったことを示している。

●MIKE AULDRIDE,BOB BROZMAN & DAVID GRISMAN 『Tone Poems V』 ACD-42 CD \3,100

Nostalgia Prelude/Akaka Falls/Moonlight Bay/Peach Pickin' Time In Georgia/St.Louis Blues/Whispering/Trash Can Stomp/Frankie And Johnny/Kohala March/Crazy Rhythm/Beat Biscuit Blues/Great Speckled Bird/It Happened In Monterey/Limehouse Blues/Style O Blues/Honolulu Nights/Stompin' At The Savoy/Fort Worth Drag/Just Joshin'/New Steel/Las Ninas 全21曲

デヴィッド・グリスマンの大人気プロジェクト、トーン・ポエムズの第3作。ギターとマンドリン、1対1の対決?だった前2作とは趣きを変えて、ブルーグラスからマイク・オールドリッジ、ブルーズ、ハワイアン等をよくするボブ・ブロズマンという二人のスライド名人を迎えての、三つ巴スライド勝負。ドブロ、ワイゼンボーン、ナショナルといったポピュラーな楽器に加え、およそお目にかかったこともない珍しいものまで、53本のヴィンテージ・インストゥルメントをとっかえひっかえしての、一大見せびらかし大会。例によって、夫々の楽器にまつわる蘊蓄を傾けた48ページの写真集がついて、耳と目の両方から楽しめるグリスマン印豪華パッケージ。

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